(書評)駿英血統 神馬を継ぐ者

著者;田尾典丈



近代競馬の成立より300年あまり。血統、交配に纏わる厳格なルールが定めらた馬たちに幾多の人々が関わり、より高みを目指してきた。船橋競馬所属の若手騎手・武田信晴は、伯父が生産した武田騎馬の血を引くという馬・レッドアームズと共に連勝を積むものの、中央から遠征してきた天才騎手・上杉と、彼の駆るヴィシュラヴァスに敗れてしまう。武田とも因縁のあるヴィシュラヴァスと共に血と宿縁の物語が幕を開ける……
ごめん。なんか、粗筋を見た瞬間、トンデモ競馬小説かと思っていた、
いや、ぶっちゃけ、血統周りは相当に無茶苦茶ではある。木曽馬とサラブレッドはさすがに交配できないし、まぁ、レッドアームズがそうだとして、ライバルは上杉謙信の乗ってた馬の血を引いてい、海外ではナポレオンて……(笑) ちなみに登場人物が戦国大名、特に甲斐武田氏関係が主だったりもする(穴山が中央で、嫌な奴なのは、やはり裏切り者だからだろうか?)
とツッコミを入れたくなる部分はあるんだけど、物語そのものは非常に熱い競馬モノであり、ライバル物語。
非常に激しい気性と闘志を秘めたレッドアームズ。冒頭に書いたようにデビューから連勝をするものの、地方競馬の2歳王者決定戦・全日本2歳優駿で中央から来たヴィシュラヴァスと上杉に敗れてしまう。脚部不安からダートを使っているものの、あくまでも狙いは芝の日本ダービーというヴィシュラヴァス、そして上杉との、有馬記念での再戦を誓い地方競馬最強を目指していく……。
多少、信晴の無知っぷりとかは気になるけど、とにかく豪腕で勝ちに行く姿勢。はたまた、ある意味、不正にも見える徹底的な遠征馬に対するマークの応酬(作中のJDD、オールカマーでのやり取りを見て、2011年のスプリンターズSにおける、外国馬・ロケットマンに対する中央勢のマークを思い出した)。そして、パワフルなレース終盤での攻防というのは読み応え抜群。著者紹介で、著者はタマモクロスが好きで、みたいなことを書いているけど、やっぱり、こういうのは競馬好きだからこそ、じゃないかな? と思う。
……もっとも、物語の結末を見て、ファントムフライ? とか思ったのは秘密。

No.4178

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