(書評)かみさまドクター 怪医イサナの症例報告

著者:西塔鼎



新米医師である伊佐奈詠は、学生時代の恩師・空騎剣の召集により、芦原総合病院に新設された「総診科」に赴任することになった。しかし、「総診科」は「総診科」でも、「総合生物診療科」。数年前に公的に存在するとされた「人ではない者」の病の治療をする科で……
という連作短編集。ただ、著者があとがきで「フレーバーみたいなもの」というように、それほど医療そのものをメインにしている感じはなかった。
その中で、多分、医療っぽい話なのは1編目。総診科を訪れたのは、最近、倦怠感を感じている、という吸血鬼。食欲は旺盛で、普段よりも多くの血を飲んでいるくらいだ、という彼女の病は何なのか? まぁ、「ここがポイントだろうな?」というのはあからさまなので、そこは「やっぱり」という感じなのだけど、そこに医療的な部分が散りばめられていて「なるほど!」という感じだった。吸血鬼=夜行性、ならば……なるほど……
それ以降は、怪異という存在について描いたような話。2編目の睡眠障害の夢魔、3編目の人間嫌いの天狗。それぞれ、人間と怪異の関係性がクローズアップされる。まぁ、結構、使い古された設定ではあるのだけど、その軽い雰囲気で読み勧めることが出来る、というのが最大のポイントなのかな? と思う。
そして、最後のエピソード。総診科を訪れたのは、種族不明の少女。しかも、これまでの種族とも全く違う存在としての彼女の病は不明なまま、怪異の全滅を目指すテロリストに彼女は誘拐されてしまって……。話として何か、まとめになるエピソードを、というのはわかるんだけど、ちょっとカラーが違っているなぁ、という感じ。まぁ、読の「医者」としての覚悟とか、その辺りは良いのだけど……
というか、主人公である読の正体。こうやってフルネームを文字に起こしてみると、この時点でバレバレなのね……(笑)

No.4179

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