(書評)群青のタンデム

著者:長岡弘樹



警察学校での成績が同点一位だった戸柏耕史と陶山史香。交番勤務となってからも手柄を争い続けている二人。そんなある日、一人の男が、商店街の間の隙間に一人の少女がずっと動かずに潜んでいる、ということを伝えてきて……(『声色』)
一応、連作長編、という形になるのかな?
物語は、まだ新人で、交番勤務の1編目から始まり、細かな出来事などを切り取りつつ最終的には数十年単位のスパンで進む。何しろ、最終的には定年退職後にまで話が進んでいるのだから。
先に「細かな出来事」と書いたのだけど、まさにそんな感じ。1編目『声色』。冒頭に書いたように、町の人すら「何をしているのか?」という少女。その目的を聴いた耕史は、その少女のためにあるアドバイスをする。少女の抱えているものなどを掘り下げつつ、事件を解決する。でも、それは史香に対する対抗心もあって……
そんなやりとりで一気に時間が経過したなと感じるのが4編目。警察学校の教官となった耕史。そこで気になっているのは、1編目で登場した少女・薫。警察学校で学ぶ学生となった彼女は、突如、成績が低迷してきて……。消えた弾丸と、成績が落ちている薫。耕史は一つの仮説を手にするが、真相は……。舞台が警察学校というのもあるんだけど、『教場』のエピソードに近い印象。
同じようにスッキリした話なのは『投薬』。近くの市役所に出向となった史香。そこで直属の部下となった三嶋という人物とはどうにも馬が合わない。そんなとき、汚職疑惑の上がる市長の運転手をしていた三嶋が事故を起こし、三嶋は死亡。市長も怪我をする。普段、慎重この上ない運転をする三嶋が? 動機とかに謎は残るものの大体の構図はそこで見えるしこの作中ではスッキリするエピソードと言える。
と、実は、それぞれのエピソードで謎は出つつ、はっきりとこうだ! という結論が出ないものも多い。そして、最後のエピソードで示される真相。なるほど! とは思う。思うけど……そこまでのモヤモヤが晴れた、というよりも、モヤモヤが晴れたことで、却ってどんよりした気になったのはどうしたものか……

No.4180

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