(書評)バリ3探偵 圏内ちゃん 凸撃忌女即身仏事件

著者:七尾与史



工事現場で発見された女性の遺体。まるで即身仏にでもなったかのようなその女性は、忌女板でも知られた有名な人物だった。事件をきっかけに、かつてないほどの盛り上がりを見せる忌女板。その疑惑の目は、かつて、批判的な人々を監禁し、即身仏のような状況にさせてしまった宗教団体の残党が立ち上げた宗教団体。早速、凸撃デモが巻き起こるのだが、その参加者が今度は行方不明になって……
ということで、シリーズ第3作。
前作は、黒井マヤとか出てきて賑やかではあったのだけど、このシリーズの一つの売りであるネット上のやりとりとか、そういうものが薄くて「?」という感じでもあった。それが今回は、本来のテーマに戻ってきたかな、という印象。
元々、圏内ちゃんはSNSとかで、「痛い」発言とかをする人を特定させ、炎上させる、ということをしているのだけど今回はネットの、暴走の怖さ、というところだろう。冒頭に書いたように、宗教団体では「即身仏」を作る、という教義をもち、それを無関係な人間にまでやろうとしていたことは事実。しかし、残党が作ったとは言え、今現在、それをやっているという証拠はない。しかし、一度盛り上がったBBSの参加者は凸撃という形で暴走してしまう。
そして、警察が宗教団体への捜査に入り、行方不明になった人々がいない、となると今度は、ある書籍で元信者とされた人物へと疑惑の目が移って……。どちらも印象論として疑わしい。それだけで、話が進んでいく怖さっていうのが十分に描かれている。
そして、そんなところに、今度は人工知能、AIというものを巡る話が絡んで……
まぁ、犯人については、唐突に現れて……という感じがしないでもない。もう少し、この人物について、前もって描かれていても良かったんじゃないかな? と思うところはある。でも、ネット炎上とか、そういうメカニズム、怖さ、そういうテーマ性がしっかりとしていて面白く読むことが出来た。

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