(書評)向日葵ちゃん追跡する

著者:友井羊



「おさらぎセキュリティ」でストーカー対策を担当する原向日葵、19歳。彼女の元に相談に訪れた依頼人から連絡が取れなくなり、依頼人の元へ向かうと、そこには依頼人の他殺体が。しかも、その依頼人の家の前で、一人の男性を見かける。その男性、佐藤晴馬は、かつて、向日葵がストーキングしていた相手として、彼女に接近禁止命令がされている男だった……
ということで、元ストーカーである向日葵が「接近禁止」と言う命令を出されている男性の無実を証明するために奮闘する話。こうやって書いて見ると、結構、ややこしい設定だなぁ(笑)
ストーカー……こんな言い方をすると何だけど、基本的に自分とは全く違う存在とか、おかしい奴、とか、そんな印象を抱くと思う。でも、そうなんだろうか? 本作の主人公・向日葵は「元・ストーカー」。物語に、少し前の話、として向日葵と晴馬の過去の様子が何度か挿入される。展覧会で見かけた晴馬の絵。理由は分からないが、なぜか心惹かれ、その絵を通して交流を持つことになった。晴馬の創作に率直な感想を言っては、それを生かした作品が……。そんな関係。ところが……
彼女が本当にストーカーだったのか? という問題はある。けれども、相手のことを想い、それを続けていく。時には派手な行動に出る、というのは一般に言うストーカーのイメージにそのもの。物語の冒頭、向日葵が、ストーカーをやっつける、というシーンがあるのだけど、はたしてどこからがストーカーの行動で、どこまでは??? そんな部分が強く印象に残った。
そんな中で、物語のもう一方のメインとなるのが美術の世界の話。絵画展に関しての色々な薀蓄。正直、現実の世界でも某二科展は芸人ばかり受賞しているとかは確かにあるし、個人的に好きな『ギャラリーフェイク』とかでも描かれている題材なので新鮮と言う感じではなかったのだけど。
まぁ、そんな題材を描いた作品だから、この真相も仕方がないのかな? どこからがストーカーで、どこまでが……と考えると。
それでも、ちゃんと向日葵が一歩、成長したことが垣間見えるエピローグのおかげで読後感が凄くよくなったのは間違いないところ。

No.4187

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