(書評)柳屋商店開店中

著者:柳広司



9編の短編と、その他エッセイを収録した書。
何か不思議な本(笑) 上に書いた形で、本書の3分の2くらいが単行本などに未収録だった短編小説。残りの3分の1くらいがエッセイという構成となっている。
とりあえず、小説作品の方から。最近の著者の作品は、オリジナルなキャラクターで勝負しているわけだけど、本書に収録されている作品は、どちらかと言うとデビュー当初のような、歴史上の人物、名作作品をモチーフとしたものが多い。
例えば1編目の『パスカヴィル家の犬(分家編)』。タイトルで分かるように、シャーロック・ホームズ作品を題材としたもの。「必ずや犬に食い殺されるだろう」という遺言が残されたパルカヴィル家の分家。しかし、そこには多くの犬が。しかし、人を食い殺すような獰猛なものはいない。ショートショートらしいちょっとした捻りの話。しょーもないのだけど、結構、好き。
読み応えという意味では『策士二人』。古代中国を舞台に、類稀なる才能を持った若者と、そんな若者の才に気付いた師匠の物語。類稀なる才能があるが故に、それを恐れ、策を用いた師と、そこから生き延びた弟子。40頁あまりの分量ながら、次々と状況が転がっていく様は非常に面白い。
ボツ原稿だったという『竹取物語』。モチーフとなった話はそのままなのだけど、その解釈を買えて……のオチは……しょーもなっ!!(褒め言葉)
一方、後半のエッセイは……
元々、エッセイ集にするつもりだったのが、エッセイの数が少ないが故に本作のような構成になった、とのこと。それだけに、何か、それぞれのエッセイについてまとまりそのものがあまり感じられず、しかも、それぞれが結構、焦点がぼやけている感じかな? と思えた。『柳広司を作った13』とか見ていると、「この人はどういう経歴を持っているのだろう?」と思えたりした部分がないわけではないのだけど……(決まった職がなく、肉体労働で食いつないでいた、とか、ボクシングをやっていた、とか、そういうのを見るとね)
全体を通すと、ちょっと中途半端な感じもないではないかも。

No.4193

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