(書評)聖なる怠け者の冒険

著者:森見登美彦



社会人2年目の小和田くんは、仕事が終われば独身寮でビールを飲みながら夜更かしをするのが趣味の怠け者。しかし、そんな彼の前に現れた狸の仮面を被った人ぽんぽこ仮面」なる人物は、自分の後継者になるよう小和田くんに迫る……
久々に読む著者の作品。あとがきによると、新聞連載時、単行本時、そして文庫化に際して、それぞれ大幅な改稿がされているらしいが……とりあえず、この感想は文庫本を読んだときのもの。
何か、ある意味、著者のデビュー当時の世界観に戻った気がする。世界観が過去の作品と繋がっている、っていうのがあるんだけど、小和田くんを振り回す職場の先輩である恩田先輩と桃木さん。夜な夜な、困っている人を助けているのに、様々な勢力から追われる立場になってしまったぽんぽこ仮面。ぽんぽこ仮面を調べて欲しいと、依頼を受けるが基本的に怠け者な浦本探偵と、真面目なんだけど極端な方向音痴である玉川さん。そんな騒動の中、半分くらいは眠っているだけの主人公(?)の小和田くん。決して、怠け者だらけではないのだけど、そんな小和田くん辺りが最終的に中心になるのはある意味、凄い。
祇園祭、宵山という状況の中で、それぞれがドタバタドタバタと突き進んでいく物語は楽しい。しかも、無限蕎麦(食っても食っても減らない大量の蕎麦)とか、テングブラン(別名・偽電気ブラン)とか何じゃそりゃ? というようなバカバカしい小道具が出てくるし、過去作品を読んでいれば、そのリンクとかも楽しい。
ある意味、世界観が気に入るかどうか、というタイプの作品ではあると思う。起承転結とか、そういうので、というタイプではないし。でも、この独特のノリが気に入る人には、とことん入れる作品だと思う。著者のデビュー直後の作品が大好きだった私とすれば、久々にその世界に入り込むことが出来て楽しかったわけだし。
……あ、『ペンギン・ハイウェイ』とかも好きだけどね(笑)

No.4204

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