(書評)やがて恋するヴィヴィ・レイン1

著者:犬村小六



「ヴィヴィ・レインを見つけて」 亡き義妹の遺した言葉を胸に、ガルメンディア王国の二等兵としての日々を送る少年・ルカ。そんな彼を自らの近衛兵に迎える王女・フィニア。限られた命で、機械兵を動かしたいと願う人造人間のアステル……。それぞれの想いはやがて……
てなわけで、著者の新シリーズ。タイトルに「1」と書かれているように、物語的には完全にプロローグという印象。何しろ、「ヴィヴィ・レイン」とは何なのか? そういうのは全く謎なままだから。
スラムで育ち、正々堂々と、という貴族による騎士道をバカバカしいと考えるルカ。その視点で言えば、卑怯者と言える戦術で勝利を飾るルカを、フィニアは見出し、自らの近衛兵に。同じ3人乗りロボット(?)の操縦士は旧友であり、性別を隠しているミズキ。そして、さらに人造人間であるが、ロボットの制御が出来ず、自らの存在価値を求めるアステル。そんな面々が、一同に介し、ともに戦い、そして、別れへ……というのが綴られているだけだから。
ヴィヴィ・レインに関しては、ルカが亡き義妹に言われた言葉。そして、アステルが拒否されたロボットに言われた、「俺を自由に操りたいならヴィヴィ・レインをつれて来い」と言う言葉。その二つだけ。そういうものを差し置いて、物語の中心となる(であろう)面々を描いた、と言う感じになるのだ。
元々、ルカは貴族階級のやり方に対して反発している存在。フィニア自身は、スラムの生活とかにも心を向ける姿勢を見せているし、そういう意味で反発はしていないが、しかし、現在の国自体が良いとは思っていない。一方、フィニアは国を守る、というのがあるわけで、そこに左右されることは目に見えている。何と言うか……『とある飛空士への誓約』と同じく志、仲間意識は保ちつつも敵対することに、という予感を遺しているから。
その一方で、天界から送り込まれるロボット。ルカらが生活する世界のさらに下にあるという「地獄」。まだ、そういう世界観も多くの謎を残したまま。壮大な話が始まりそう、というのを感じる。

No.4205

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