(書評)アンマーとぼくら

著者:有川浩



大学進学以来、ほとんど帰ることのなかった沖縄。休暇で戻ってきたリョウは、親孝行のため、ガイドであるおかあさんと共に3日間の島内観光をする。そして、その中で……
書店サイトなどのあらすじで書かれているので、ネタバレではないと信じて、とりあえず設定を説明。
主人公であるリョウと「おかあさん」は、実は血のつながりのない義理の母子。リョウは、北海道で、自然写真家の父と、生みの母と暮らしていた少年。しかし、母は病に倒れ、父はその頃から疎遠な状態に。そして、母の死後は余計に……。母の死から2年も経たない中、久々に連絡をもらったリョウを待っていたのは、沖縄に住む女性と再婚した、という一報……
義理の母と共に行く沖縄観光。ガイドという観光のプロである義母がお勧めする場所は、沖縄で暮らすこととなったリョウにとって、決して遠い場所ではない。しかし、子供であった当時とはまた別の感慨が浮かんでくる。そして、その感慨と共に思い浮かぶのは、すでに亡くなった父のこと……
作中でリョウ自身が、何度も繰り返しているけど、この父、本当、精神年齢が子供そのもの(笑) 小学生くらいだったリョウよりも子供っぽい(笑) そりゃ、そんなのに振り回されりゃ、ひねくれた子供に育つさ(笑)
でも、そんな父の思い出を、振り回された当時の視点、ではなくて、三十代になったリョウの視点で思い浮かべると苦笑い交じりであっても「しょーがねーな!」と思えてくる気持ちに共感できる。ある意味、父のような形で暮らせたら幸せだもの。それに、そんな父のことを死後、長いときを経ても想っている「おかあさん」がいるなら余計に……
最終的に、「実は……」という部分がある。物語をまとめる上で、これが必要だったのかもしれないけど、個人的にはなくても十分に成立していたんじゃないかな? と思う。オチがなくても良いじゃない! あくまでも、私個人の感想としてね。
ただ……それでも思う。リョウの親父は大馬鹿野郎だ! と。
あの死に方はない。金銭的なことはともかく、愛する人を残し、成長した息子を見ることもないなんて……。自分自身が三十路も半ばを超えた中で、多少は、ではあるものの、自分と父親との距離感とかも変わったし……っていうのを思うだけに……

No.4221

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