(書評)古書カフェすみれ屋と本のソムリエ

著者:里見蘭



古書スペースを担当する紙野君と共にすみれが共同経営している古書カフェ・すみれ屋。すみれの作る絶品メニューに惹かれて集う客はトラブルを抱えている。そんな客に、紙野君は、一冊の本を差し出して……
という5編を収録した連作短編集。
著者の作品は、新潮文庫nexで刊行されている「大神兄弟探偵社」シリーズだけを読んでいるのだけど、こういう作品も書くのか、というのがまず第一。
古書店などを舞台に、実際に存在している書籍をモチーフにして問題を解決する。これ自体は三上延氏の「ビブリア」シリーズなどをはじめとして、乾くるみ氏の『蒼林堂古書店へようこそ』とか、いくつか思いつく。
ただ、この作品の特殊なのは、文学作品ではないものを結構、扱っている、ということ。
例えば、忙しい時間帯に、「待ち合わせ」と称してテーブル席を独占し、コーヒーだけで粘る男性。そんな男性に、紙野君が出したのは……
荒木経椎氏の写真集『センチメンタルな旅』。作中で、その男性が「エロ写真」と言っていたけど、ぶっちゃけ、私自身も荒木氏というと……っていう感じなんだよね(といいつつ、荒木氏の写真とかは意識してみたことがない。これはどっかで見たことがあるかも、ということ) で、写真集って、文章メインの本と違ってその写真を「どう解釈するか?」っていうのが不明確。それを承知の上で男性に渡して……というのは、ある意味、紙野君の慧眼を、という風に思える。
そのほかにも、『料理歳時記』が題材になっている4編目とか、よくぞコレを題材にした、という感じ。この辺のチョイスにまつわるセンスって、それこそ、作者のセンスじゃないのかな?
まぁ、主人公であるすみれと、探偵役の紙野君の恋愛模様とか、そういうものも気になるところだけど、個人的には、上に書いたような、意外性だらけの本のチョイスが気になっただけに、今後の展開を期待したい。

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