(書評)分かれ道ノストラダムス

著者:深緑野分



1999年6月。高校1年生のあさぎは、2年前に死んだ友人の基の3回忌に出席し、彼の祖母から日記を託される。そこに書かれていたのは、交通事故で死んだ基の両親の死はどうしたら防げていたか、という思考実験。あさぎは、クラスメイトである八女くん、その知人の久慈と共にその思考実験に参加するが、ノストラダムスの予言を信じるカルト宗教の行動が激化、その中で久慈も失踪して……
1999年6月。私自身で言うと、ちょうど、大学生になり、東京に出てきたばかりの頃。もう、ずいぶん前になるんだな、と実感……
Amazonとかの紹介文だと「展開予測不能の青春ミステリー」とあるんだけど、謎解き、というよりも周辺の誰を信じて、誰が……というタイプの話になっている感じ。何というかこういうと何だけど、序盤の基の残した思考実験とかはだんだんどーでも良くなってくるし……
思考実験を通して知り合うことになったクラスメイトの八女君。そして、その八女君を通して知り合った久慈。その久慈こそが悪の元凶というカウンセラー・桐。さらには、町のホームレスに、中学時代の友人……。宗教団体の行動が過激化し、事件に巻き込まれていく中で、それぞれの思わぬ立場が明らかになり、そして、誰が味方で、誰が敵なのかわからなくなっていく……
流石に、当時、ここまでノストラダムス云々って話題になっていたっけ?(笑) まぁ、そこはツッコミ入れるところはないけど、結構、荒唐無稽な感はどうしても残る。決して、非現実的なわけではないし、実際、駆ると宗教に本当に入れ込んでいる存在って、普通の理屈とかが通用しないのはわかる。わかるんだけど、そこまで派手に犯罪行為をしていたら……こうなる前に何からのストップがかかるんじゃないかな? と思えるので。ただ、それだけ荒唐無稽で、わかりやすい危機だからこそのスピード感とかそういうのはなかなか。前作、『戦場のコックたち』が、かなり重厚な話だっただけに、それをイメージすると違うのだけど、これはこれでアリ。逆に引き出しが多い、と評価すべきなのかな? と。

No.4225

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