(書評)掟上今日子の家計簿

著者:西尾維新



全4編を収録した短編集。シリーズ第6作。
今回は、いわゆるミステリのお約束というか、法則というか、そういうものを題材にしているのかな? という印象。
1編目、『誰がために』。ペンションで若い女性が殺害された。ペンションは雪によって外部から孤立しており、居合わせたのは彼女と面識がないはずの客と経営者。誰が犯人か今日子は、「最も利益を得る人」という観点から考えて……
ある意味、消去法による解決ではある。しかも、結構、強引な。ただ、「何が利益なのか?」という意外性という意味では巧く捻られており、なるほど、と感じた話。
2編目の『叙述トリック』は、何というか……謎解きというよりも、もはや、ただひたすらに叙述トリックのパターンとしてはこんなのがありますよ、と解説されているだけのような……。オチも含めて、最終的に何じゃこれ? という感じではある。
物語として一番面白かったのは3編目の『心理実験』かな? 実質的な座敷牢に閉じ込められていた男が殺害された。しかし、発見時、その部屋は鍵がかけられており、発見者であり、容疑者でもある家族は、その扉を破壊して部屋へと入ったところ、串刺し状態の男を発見した。
密室とはどうとか、そういう話が続くのだけど、そういう話をした後に、「最初からわかっていた」という一言。その理由は……。ある意味、「こっちこそ……じゃないか!」という感じなのだけど、巧くだまされたな、という印象でよかった。それと同時に、このエピソードの語り部である警部が、今日子をわざわざ使った理由。また、ある意味、警察から今日子がどのような存在として扱われているのか。そういう部分が垣間見える、という意味では、作品世界観の掘り下げになっている、ともいえるのかもしれない。
まぁ、4編目の『筆跡鑑定』は警察の捜査が雑だ、ってだけの気がするし、『叙述トリック』は結局……という感じがする。そういう意味で、全体を通すと、謎解きなどの観点でいうと、ちょっと弱い、という風に思えてならない。

No.4231

にほんブログ村 本ブログへ
にほんブログ村


http://nijiirosekai.blog55.fc2.com/blog-entry-5719.html
スポンサーサイト

COMMENT 0

TRACKBACK 1

この記事へのトラックバック
  •  掟上今日子の家計簿
  • 掟上今日子の家計簿 作:西尾 維新 発行元(出版):講談社 ≪あらすじ≫ 眠るたび記憶がリセットされる名探偵・掟上今日子。 引き受けた事件は即日解決の彼女のもとに、今日も悩める刑事からの難題が舞い込んだ。 呼び出されたのはなぜか、事件現場ではなく遊園地。依頼は、ある事件の容疑者より速く、巨大な脱出ゲームをクリアすることで……? 美人でおしゃれでお金が大好き。...
  • 2016.12.14 (Wed) 22:12 | 刹那的虹色世界