(書評)妖姫のおとむらい

著者:希



同じ場所に長らくいると食べたものの味がわからなくなってしまうため、放浪癖を持つ大学生・比良坂半。そんなたびをしているある日、彼は奇妙な空間に迷い込んでしまう。そこであったのは妖の姫・笠縫。彼女に出会って以降、変な場所、変な空間へと迷い込む癖が出来てしまったようで……
著者の作品を読んだのは初めてなのだけど、まず思うのは独特の文体であり、独特の世界観とでも言うべきものだろうか。こういうと何だけど、作家によってはとにかく何が主語で、何が起きているのか、というのがわかりづらい、みたいなこともある。でも、本作の場合そうではなくて、そういうのは明らかで頭にスルスル入ってくるのだけど、でも、独特のリズムとか、そういうものに慣れるのに時間がかかる文体、とでも言えばいいのだろうか? 文体は全く違うのだけど、舞城王太郎氏の作品を初めて読んだときのことを思い出した。
半と笠縫の出会いとも言うべき第1話。こういう言い方は何だけど、ある意味、この文体に慣れるための練習編のような感じがする。不思議な世界へと迷い込み、笠縫と出会い、そこで半が彼女に思ったのは……
「彼女を食べたい!(文字通りの意味で)」
その代わりに異世界の不思議な食べ物を食べて、で終わるのだけど、二人の関係性などを理解した。それでいいのだと思う。
物語としての本編は多分、2話から。幼馴染のまつ璃姉と共に迷い込んだ異世界。そこで、献上品のパンを食べてしまい、その分を補給するため、材料を取りに……。
見た目は近そうだが、非常に狭い道を進むしかない状況。その道は、入り組んだ商店街、というか、縁日の出店が立ち並んでいるような空間。怪しく、そして、ちょっと危険な出店たち。そこにひきつけられながらの道中。怪しげな空間の雰囲気の怖さと魅力、双方が醸し出されていて楽しい。
ある意味、ホラー的な要素がある4編目。しかし、読み終わると、笠縫が、半が何者か? という示唆になる話。これはネタバレしても仕方がないので詳しくは語らないのだけど……
だんだんと、文体にもなれ、世界観に没入できてきたところだけに……続編を期待したいなあ……

No.4240

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