(書評)月とうさぎのフォークロア。 St.1 月のうさぎ、あるいは悩めるうさぎ。

著者:徒埜けんしん



長く透き通った絹のような髪。その上にはやわらかそうなロップイヤーを持った美少女・稲羽白。ここは、彼女のような「神人」と人間が共存する世界。神衆組織・月夜見一家の総代の息子・朔は、白らと共に仲間、家族を守るために戦っていた。そんなとき、犬神の組織である犬吠埼組が庇護を求めてきて……
第8回GA文庫大賞・奨励賞受賞作。
なんたるヤクザ小説!(笑)
Twitterとかで「面白かった」という感想があったことで購入し、表紙やカラーイラスト、買ったときについてきたショップ特典からエロコメ風作品かと思ったら、異能バトル要素があるとはいえ、かなりガチなヤクザ抗争モノだった(笑)
一応、設定から説明しておくと、物語の舞台としては日本的なもの。そして、そこには先に書いたように、神人と普通の人間というのが存在し、神人は神衆組織という暴力団組織のようなものを作っている。勿論、用心棒代のような形でシノギを得て、時に他の組織と抗争をして……と。ただし、普通の人間は、普通の人間に被害者が出ない限りはその争いに手出しをしない。そして、主人公の朔も、白も神人。ただ、まだ朔は、盃を受けておらず、立場としては、一般神。しかし、犬吠埼をかくまうこととなり、なおかつ、抗争の中で総代である父が殺され、その跡目を継ぐことになって……と……
他の方の感想を読んでいて、昔の任侠映画って、主人公無双で、かつ、モテモテハーレム系作品の元祖じゃないか? みたいな意見があって、なんかすごく納得(笑) 蛇神組織の六坂組との抗争、ということになるのだけど、朔、そして、白はそもそも神力がずば抜けて強く、六坂組とかが束になって掛かってくるのをあっという間に倒してしまう実力の持ち主(それも、実際に殺している) しかし、六坂組は狡猾な手段で罠を仕掛け、しかも、どうやら月夜見一家の中には裏切り者もいるらしく、個々の戦力では押しながらも楽観できない状況。朔や白が、イラストでは普通の少年だったりウサミミ美少女だったりするので何だけど、脳内で高倉健とか、梅宮辰夫とかにしてもあまり違和感がなかった(笑) 当初の印象と違って戸惑ったところはあるんだけど、作風を理解してからは、これはこれで楽しめた。
まぁ、メタ的な読み方をしてしまうと、キャラクター相関図からして裏切り者はこいつだな、と早い段階で想像できてしまうとか、そういうのはあるのだけど、それをいうのは野暮ってものだろう。でも、その裏切りの理由が、現実の暴力団組織じゃないから、というような辺りで工夫されているのは巧いと思うしね。
表紙に騙されるな! でも、「こういう作品だ」と理解して読むなら楽しめると思う。

No.4246

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