(書評)スクープのたまご

著者:大崎梢



思わぬ偶然か、大手出版社・千石社に入り、1年間、PR誌の編集部で働いていた日向子。ところが、えげつないスクープ狙いで悪名高い雑誌・週刊千石に配属された同期が病に倒れ、日向子は急遽、週刊千石編集部に異動することに。人の不幸を食い物にする週刊誌に抵抗を覚えつつも、そこで働くことになる日向子だったが……
書店員、出版社……書籍に関するお仕事を題材にする作品を多く手掛けている著者。今回は、週刊誌。
物語は、週刊誌編集部に配属された日向子が戸惑いを感じながらも、仕事をこなし、だんだんとその世界になじんでいく形で展開する。
これ、作中で日向子自身が言っていることなんだけど、週刊誌の取材とかって、出版社の社員が自分でやっていることなんだ……。いや、それこそフィクションの中の話である、というのはわかっているけど、小説とかだとフリーのライターがネタを持ち込んだり、はたまた、企画を外注したり……というのが多くて、社員はその編集とか、っていうイメージだった。いや、同じく作中で、フリーでも社員でも、信頼、相手の人間性を知っているから、といような部分はあるんだろうけど。でも、作中で指摘するように、スクープを抜く、抜かれる、の中で「同じ会社に属し、その利益を追求する社員」というものでなければ、というのはわかる気がする。
そんな部分がまず最初に思ったことなのだけど、週刊誌って、本当に独特なのだな、と感じる。それこそ、政治とか、社会とかを取材したいなら新聞社とかがあるだろうし、同じ雑誌でもファッション誌とか、文芸誌とかのような趣味の世界に特化しているわけでもない。それどころから、関係者からは恨みつらみを買う。日向子の偏見じゃないけど、どんなのが……っていう感じはする。
でも、そうは言いつつもチームプレイがあったり、はたまた、時にやりがいがあったり、応援してもらったりもする。そういう部分では、普通の会社と同じなのだな、というのもよくわかる。それに染まっていく日向子が怖いような、でもわかるような……そんな気分になれたのが何よりもの収穫かな?
まぁ、この作品では日向子はまだ新入り、ということもありそこまで「危ない」「えげつない」ところまで突っ込んだ部分はなし。先の染まったら、じゃないけど、続編ができたら……って気がしないでもない。

No.4263


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COMMENT 2

苗坊  2017, 01. 15 [Sun] 11:51

こんにちは。
本当に出版社の中でも週刊誌は特に独特だなとこの作品を読んで思いました。
週刊誌に書かれている記事はライターさんを外注して行っていると思っていたので、出版社の社員が張り込んだりして記事を書くために奔走しているとは驚きでした。
日向子は最初大丈夫かなぁと思いましたが、ガッツがありますし、少しずつ染まっていきましたよね。確かに頼もしくもあり恐ろしくもあり…。
確かに週刊誌という分野の中で序章くらいのお話だったのかもしれないですね。
これ以上踏み込んで染まっていっていろんな部分が出てくる話になったら、私は読めないような気がします^^;

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たこやき  2017, 01. 19 [Thu] 03:41

苗坊さんへ

こんばんは~。

日向子のガッツというのは、見ていて頼もしく思えましたし、外注ではなく、身内だからこそできるんだ、という辺りの説得力も理解できました。売り上げが何より、という中で、社外秘のネタなら、外注することはできない。「確かに」と納得しました。
でも、本文でも書きましたけど、ここに染まりきった日向子はあまり読みたくないです(苦笑)

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