(書評)食せよ我が心と異形は言う2

著者:縹けいか



十年前の英雄譚の真相を知り、復讐に走った黒羽園。しかし、救うはずだった月白カノの身を取られ、瀕死の怪我を負ってしまう。意識不明の黒羽を看病するマコトと、カノの身体で動くイーヴァ。二人の懸命な看病の中、彼らを「英雄」にした防衛大臣が何者かに殺されて……
前巻の感想で、「ひたすらに胸糞の悪い話」と書いたのだけど、今回はむしろ清清しいほどにスカッとした。
物語序盤は、黒羽が意識不明であるところから。かつての反省から、「絶対に仲間を裏切らない」というマコト。ただ、面白がりつつも何だかんだで黒羽を大事に思うイーヴァ。国からは「裏切り者」のレッテルを貼られ、終われる立場の三人。ではあるのだけど、それぞれのやり取りによってむしろ明るい雰囲気が漂う。冒頭、マシンガンを持って浮浪者たちの前に現れ、脅迫をするけど声をかけられたらそれでビビッて撃ち始め、結局、ただ逃げて帰ってしまうマコトっていう時点で色々とアレだし。
そして、その中で黒羽は復活し、しかも、かつてよりも新たな力を得る。そんなとき、マコトがロシアの能力者に捕らえられて……
話全体を見ると、黒羽、イーヴァとロシアの能力者の戦いがメイン。そして、その上で、物語の前提となったロシアで起こった水爆事件の真相などへつながっていく。物語としてはこの巻で完結して、ちゃんと伏線なども回収されている。
ただ、されているのだけど、何か読み終わってみるとちょっと忙しかった感じもある。物語のある意味、黒幕というべき研究者・若葉統一郎、その息子である榛といった辺りの話がアッサリと終わってしまったのもその一因じゃないかと思う。出てきたら、すでに瀕死で……とかって言われてもねぇ。
まぁ、多少、「俺の戦いはこれからだ」的な終わり方ではあるんだけど、これはこれでまとまっているし、しっかりと完結していると思う。
正直、本書を買って半年近く放置してしまったのだけど、できればこれ、1巻、2巻をそれほど間隔をあけずに読んだほうが、作品のカラーの違いとか、そういうのも含めて楽しめるんじゃないかな? と思う。

No.4274


にほんブログ村


スポンサーサイト

COMMENT 0