(書評)通常攻撃が全体攻撃で二回攻撃のお母さんは好きですか?

著者:井中だちま



「これからお母さんと一緒にたくさん冒険しましょうね」 オンラインゲームの世界に転送された真人。しかし、その転送はなぜか、彼を溺愛する母・真々子も一緒に。しかも、チュートリアルで全体攻撃をできる最強の武器を2つも手にしていて……
第29回ファンタジア大賞大賞受賞作。
なんていうか……ズルい(ほめ言葉) ネトゲの世界とか、ファンタジー作品の世界へ転移して……っていう作品は山のようにあるわけだけど、そこに「おかん」という要素を加えるだけでこんなに面白くなるとは……
ネトゲの世界、ファンタジーの世界へ転移し、まさにチートレベルの能力を持っている母。しかし、基本的にこういう世界の常識、お約束をまったく知らず、「おかん基準」で行動を取る。ギルドでの仲間集めは、なぜかおかん面接が必須。しかも、ゲームの中での有利さとかじゃなくて、「人間として~」とか、そういうところで評価がされる。
「恋人になるかもしれないから」
あったばかりの相手を、その基準で切り捨てていく、って時点で主人公としては羞恥プレイだと思うしね。そういうところの練り方がズルい。
そして、結果として仲間になったのは、レアなはずのプレイヤーキャラの2人。能力は高いはずなのに、ほかがチート状態で残念な娘状態のワイズと、癒し系だけど妙に空気を読んだりするのがうまいポータ。案内役で色々と食えないシラセさん。こう見ると、脇を固めるキャラもなかなかしっかりとしている。
そんな面々のやりとりを中心にしながら、後半はちょっとシリアスになったりもするのだけど、それを含めて、終わってみるとテーマ性もしっかりとしているのに気づく。主人公である真人と母の関係。一方で、同じプレイヤーキャラクターであるワイズの……。変に子供を溺愛する母子っていうのもあれば、一方でまったくそうでない場合もある。作品の背景に、政府が親子関係の改善とか、そういうのがあるっていうのを出しているけど、ただ一緒にすれば……っていうのは個々のケースを見逃した独善的なものだと思うし、それって、最近の「家族を大事に」とか言う押し付けがましい政治メッセージとかみたいなものも背景にあるんじゃないか? と思える(『日曜討論』とかをBGMにしながらこの文章を書いているから、そんなことを思いついたのは否定しない)
今回の騒動の裏に何かあるらしい。また、プレイヤーキャラクターであるポータは? とか、今後、題材にできそうなところもいっぱいあるだけに、続編も期待したい。

No.4275


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  • お母さんは偉大。 というわけでちょっと時間かかっちゃいましたけど、『通常攻撃が全体攻撃で二回攻撃のお母さんは好きですか?』の1巻を読み終えたので感想を書きたいと思います。 まず、この作品はタイトルから分かる通り「お母さん」がメインに出てきます。 「お母さん」って言うと、大体の人は自分の母を思い浮かべると思います。 学生さんがそう思えば、まだ若い母が出てきそうな感じですが、私の...
  • 2017.05.05 (Fri) 23:36 | キラシナのアニメ・ゲーム時々教育の百戦錬磨日記