(書評)大江戸科学捜査 八丁堀のおゆう 千両富くじ根津の夢

著者:山本巧次



根津・明昌院の千両富くじに沸き立つ江戸。そんな中、現代と江戸時代を行き来して生活するおゆう(優佳)はそんな街で行方不明になった夫の捜索を依頼されたり、はたまた、岡っ引きの仕事を割り当てられたりと大忙しな日々。そんなとき、大店の呉服商に盗賊が忍び込み、大金を奪う事件が発生。その鮮やかな手口からかつて江戸を騒がせた盗賊・疾風の文蔵の仕業ではないかと見るのだったが……
シリーズ第3作。
今回、おゆう自身が自分で言っているように、あまり科学捜査の出番がない。いや、確かに最後の大きな決め手として重要にはなるのだけど、そこまではほとんど決め手にならないからなぁ……
今回、事件の中心となるのは「疾風の文蔵」と呼ばれる男。10年ほど前に江戸で8件もの事件を越した凄腕の盗賊。一味の一部の人間の人相についての情報はあるものの本人の人相はわからず、7年前、隠れ家と思われる場所で一人の手下の遺体が発見されて以降、ぷっつりと事件は途絶えた。久しぶりに復帰したのか? そして、そんな事件を調べていくうちに見え隠れする富くじと文蔵の関係。その富くじにも、胡散臭い住職、さらに、おゆうらにも絡む悪徳岡っ引きの影が見え隠れ……
何となく両者のつながりが見え隠れするものの、どうにも決め手に欠ける状況。胡散臭い連中は多いものの、あくまでも憶測レベルでしか推移できない状況。物証そのものもほとんどない状況では、そもそも科学鑑定などしようがない。このシリーズ、これまでは「現代の技術で証拠はわかっているのに、説明できない!」というもどかしさが売りの一つだったけど、今回は「何かあれば突破口にできるはずなのに!」というもどかしさが味わいになっていた。
そして、真相がわかってみると、なかなか大胆なトリックに唸らされた。おゆう自身は科学鑑定によって真相を知ることができる。でも、それはあくまでも目の前の事件だけ。おゆうが現れることができるときより前の時代に終わった事件は……。そういう設定部分をうまく使ったトリックといえるだろう。この辺り、1作目に比べ、格段にこなれてきた感あり。今回も面白かった。
ただ、おゆうと伝三郎の関係については、全くと言っていいほど進展しないので何かな……という感じ。伝三郎も実は、というのは1巻段階で判明していたけど、そこからずっと同じ状態にある。まぁ、現代でおゆうの持ってきた品物を鑑定する宇田川が伝三郎は怪しいのでは? というシーンはあるけど、それだけ……。さすがにこれだけ進展しないとちょっと冗長だと感じてしまう。

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本が好き!運営担当  2017, 01. 28 [Sat] 18:29

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