(書評)異世界詐欺師のなんちゃって経営術3

著者:宮地拓海



リニューアルが完了したものの相次ぐ悪天候にイマイチ客足が伸びない陽だまり亭。何か忙しそうなエステラが手伝いに来る頻度が減り、さらに狩猟に出ていたマグダも大怪我。人手不足になってしまった陽だまり亭は、仕事を探していたロレッタという少女を臨時雇用するのだが……
前巻の感想で、主人公であるヤシロが頭抜けすぎていて、同レベルで渡り合える相手がいないと……みたいなことを書いた。そして、3巻、残念ながら、そういうキャラクターは登場することなく終わってしまった。
……と書くと、あまりよくない評価をするように思えるけど、3巻は面白かった。というのは、今回、敵対する相手との戦い、という要素は終盤にちょっとあるのみで、あくまでも現代社会での知識などを駆使してのアイデア、そして、陽だまり亭に関わる人々の人間関係という部分でまとめたからだと思う。
今回は、とりあえず新キャラ2人。怪我をしてしまったマグダの治療のために訪れた薬剤師のレジーナ。コミュ能力が低く、自分にも自信がないように思えるが、言っていることをよくよく聞いてみると結構、自慢のように言う。そして、当然のように怪しい薬を作る。結構、やりとりが楽しい。対して、ロレッタ。作中でも「普通キャラ」というのだけど、その普通っぷりが逆に可愛い。
そして、今回は、過去にヤシロが現代知識によって起こした事件が火種になっている、というのもよかった。ニワトリの飼料を変えることで売れなくなってしまったトウモロコシ。そのことで貧困にあえいでいる農家を前に、ヤシロがとったのは……
正直、ヤシロさん、なんでそんなことまで知っているの? って感じはする。例えば、ポップコーンを作るのには、それ用のトウモロコシが必要っていうのはわかる。わかるけど……じゃあ、それを見ただけで区別できるか、というと……。詐欺師をするのには、いろいろな知識が必要ってのはわかるけど、ねぇ……
終盤、悪事を言うようにしながら、敵を追い詰めてロレッタを救うヤシロ辺りはもはや、お約束になっているのでその点ではいつも通りって感じなのだけど、それも安心感につながっているのかな?
最初に書いたように、前巻はヤシロの能力がとびぬけすぎていてうまく行き過ぎ、という感じがしたけど、今回は素直に楽しめた。

No.4278


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