(書評)今日が最後の人類だとしても

著者:庵田定夏



700年にわたる眠りから覚めたユージを待っていたのは、人類が滅び、多数の種族が共存する異世界。働かざる者食うべからず、実力主義の世界でユージが選んだのは、落ちこぼれの亜人種たちの教師。聖霊族のサーシャ、雪人属のエミィ、妖狐族のリン。無邪気で、潜在能力がありつつも世界のルールに適合しない3人を……
一応、『ココロコネクト』の1巻目、そして、第2シリーズである『アオイハルノスベテ』を全巻を読んでいる私。これらの話って、主人公をはじめとして、それぞれの心に抱えているものをある意味、赤裸々に表に出して……というのが特徴だと感じている。そんな中での本作……
勿論、本作でも主人公のユージ、そして、3人の教え子たちに葛藤は存在している。でも、この巻に限って言えば、あくまでもユージ自身の物語として完結した印象。
作品の設定としては、人間が滅び、基本的には亜人たちの世界になった世界。そこでは、厳しく実力主義が貫かれ、それが出来ない者は淘汰されてしまう。しかし、その亜人たちは魔法などを使うこともできる。そんな中で……
人間が残した技術により、亜人たちでも手が出せないドラゴンを倒し、人間という存在は恐ろしいというイメージがついた。しかし、実際には魔法が使えるわけでもなく、体力だって人間のそれは亜人たちのそれと比べて著しく劣っている。ただ一つだけあるのは、スイッチを押せば、その街をすべて崩壊させることができるだけの破壊力を持った兵器の起爆装置。そんな中で、「教師」として導くことになるけど……
ハッキリ言って、途中までのユージについては読んでいてイライラする。勝手に上がってしまった期待のハードル。ダメならば、という危機的状況。その中で、面倒を見る生徒たちのことを視ず、完全に独善的に行動。そして、当然のように失敗……。いや、状況が状況なだけに、ある程度はユージの気持ちもわからないではない。でも、どう考えても失敗が目に見えているだけに読んでいて辛い。
言うまでもないけど、それで終わるわけではなくて、その失敗により、ようやくユージの目が覚めて……となるわけだけど、話とすれば完全にユージ自身の成長物語。多少、話の進め方が強引と感じたところもあるけど、これはこれでまとまっている……のかな?

No。4282


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