(書評)八獄の界 死相学探偵6

著者:三津田信三



ネットを通じて広まる黒術師の噂。そして、その崇拝者が集めて、バスツアーが開催されるらしい。人の死相を見ることができる俊一郎は、そのバスツアーへの潜入捜査をすることに。しかし、ツアー開始早々、黒術師から「裏切り者がいる」という一報が入り、さらに、そのバスが事故を起こしてしまい……
シリーズ第6作。
これまでは怪異については「存在している」ことが前提で、そのうえでどういう原理で死者が決まっていくのか? を解いていく話が主だったけど、今回はどちらかというとホラーパニック的な印象。
冒頭に書いたように、黒術師の崇拝者を集めたバスツアー。バスに乗った途端、崇拝者の中に裏切り者(=俊一郎)の存在が示唆され、さらに、バスは事故を起こしてしまう。バスに乗った際につけるようにされた「八獄の界」なる結界のためか、つけていなかった1人を除いて無傷で助かる。しかし、その結界の暴走か、周囲には車一台通らず、人っ子一人見当たらない。仕方なく、徒歩で移動をしながら救助を求めるのだが、周囲を霧が囲み、だんだんとそれが狭まっていく。そして、一人、また一人と参加者が死んでいき……
この話の場合、2つの緊迫感を生むための設定が仕組まれている。裏切り者がいる、それを探せ、という黒術師からの警告。勿論、その裏切り者とは、俊一郎。参加者たちは裏切り者が仲間を殺したと思い込む。しかし、俊一郎は、自分が殺したことでないのはわかっている。では誰が? そして、周囲を囲む霧。最初は半信半疑だったが、だんだんとその範囲が狭くなり、しかも、霧に包まれるとどうやら……。自分に迫る疑惑と、タイムリミット。二つの設定が緊迫感を与えているため、ホラーパニックものとしての面白さが出ている。
そして、その中での謎。誰が殺したのか? しかも、俊一郎が見立てるには、死相が薄い者から……それはなぜなのか?
謎解きについていうと、「そういうことか!」としっかりと納得。ある意味、物語を綴る上の理由で排除されていたと思っていたところが実は……とか、仕掛けが見事にはまっており、すっかりしてやられた。
ただ、一方で、この結末の後味の悪さも印象的。参加者の死の意味とかが判明し、ハッピーな結末に……と思ったら……だもの。ま、それだけ、シリーズも佳境に入ってきた、ということなのだろう。

No.4283


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