(書評)幸せ二世帯同居計画 妖精さんのお話

著者:五十嵐雄策



とある事情によって家を失い、サバイバル生活を送っていた俺と妹の小春。そんなとき、近所に空き家を見つけた俺たちは、その家に移住することにしたのだが、実はその家は、クラスメイトである成瀬莉緒の家。彼女に見つからないように、こっそりと二世帯同居をすることにしたのだが……
なんか、序盤の展開を見ていたら『暗いところで待ち合わせ』(乙一著)が頭に浮かんだのだけど、当然、全く違う話だった。
とりあえず一言言っていい? 福祉行政、仕事しろ! いや、それをやってしまったら話が終わってしまうのだけど。
冒頭に書いたように、クラスメイトである莉緒の住む家にこっそりと住みつくことになった主人公たち兄妹。バレそうになったとき、「妖精さん?」と勘違いされたことから、「妖精さん」として、彼女の悩みを聞く、という関係に。そして、彼女が学校で危機に陥ったとき、その時に知った情報で莉緒を救い……という第1章。さらに2章では、同じように家を飛び出してきた少女と出会い……
未成年者、それも中高生だけで暮らす、とか、そういうところをよくよく考えると、かなり無理のある設定なのは事実。そして、各章で、それぞれの事情を、ということもあり、比較的、アッサリ目の話の流れなのも事実。そういう意味で、もっと踏み込んでも、と思うところもある。ただ、それを徹底的にやったら、今度はとことん、重くなりそうだしなぁ……このくらいがバランス的に良いのかも。
そして、この中のメッセージ性って、結構、重要だと思うんだよな。
家族と一言でいうけど、その形態はさまざま。血縁関係があるからと言って、仲が良いわけではない。場合によっては、誰かに負担を押し付ける形になることもあるし、家族内での遠慮とか、そういうしわ寄せが発生することもある。そして、当然、一緒に住んでいたからと言って、愛していたからといって、その思いがそのまま伝わるとは限らない……。先に、比較的アッサリ目と書いたけど、その分、様々なケースを綴ったことでそのバージョンをいろいろと示せた、と評価することもできるかもしれない。
ちなみに、個人的に、終盤、家を出ていけ、っていう騒動……
「もう20年にもなるか」
とか出たとき……民法の取得時効で行くのかな? とか思ったのは秘密(笑)

No.4291


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