(書評)ホーンテッド・キャンパス きみと惑いと菜の花と

著者:櫛木理宇



ついにこよみとのデート! その日に向け、いろいろと頭を悩ませる森司。そんな二人にオカ研の面々も興味津々。けれども、そんな中にも、依頼人はやってきて……
というシリーズ第10作。
とりあえず、デートの話はあるのだけど、それに先立って、森司がオカ研に入った際のエピソードを綴った2編目『よけいもの、ひとつ』。
森司の先輩である降矢が事件を起こしているらしい。しかし、当の本人にはその時間、他のことをしていた、というアリバイが……
正直、ここまでの話っていうのはかなり極端な事例であると思う。でも、ここまで、ではないにしても、ある程度のことはどこの家庭とかでもあるんじゃないかと思う(ぶっちゃけ、自分自身の中にも、これに近い葛藤はある) 小さいころから優秀で、と言われた人物だけど、その中に抱えた劣等感。それが溜まりに溜まって……。勿論、この作品だから、超常現象という形で発現するわけだけど、テーマが身近でちょっと心が痛い。
と、同時に、3編目でデートを、というタイミングで、こよみ目当てで入った森司の、最初の事件を描くっていう構成が心憎いな。……で、お前は、どれだけ遠回りしたんだ! と(笑)
そして、デートを描く3編目『いちめんの菜の花』。森司は、こよりとデートに出かけるのだけど、行った先で何か「よくないもの」に追われることに。一方、オカ研には教育実習に行った先で知り合った生徒たちがチェーンメールをきっかけに体調不良になる事件が発生している、という依頼が入る。
とりあえず、よくないものから逃れるために、魔除けの力を持った(?)母のもとへ。「よくないもの」さん、ナイス! 思いっきり外堀を埋める手伝いお見事!(ぉぃ)
そんな事件の裏にあるのは、ある宗教団体の起こした事件があり、その中で……
自分の家のポストにもたまに、カルト団体のビラというゴミが捨てられていたりすることがあるんだけど、それを読んでみるとかなり滅茶苦茶なことが書かれていて、正直、自分なんかは白けてしまう。でも、悩みを抱えている人にとっては、「万が一でも」ともなり得る。そして、その結果……。こちらも、土台に超常現象があるのだけど、そこに相手への強い思いが……という意味では2編目と共通しているテーマのように思う。と同時に、「よくないもの」に追われて森司が母親のもとに、っていうのは今回の発端となった人物との対比という意味も大きいのだろうな、と感じる。
今回は、森司とこよみのデートということで、浮かれた空気が結構あるんだけど、その中で出てくる事件は、かなり悲痛なものがおおかったな、という印象。

No.4294


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