(書評)追伸 ソラゴトに微笑んだ君へ

著者:田辺屋敷



二学期初日、空虚な日々を送っていた篠山マサキは混乱した。慣れた様子で登校してきたのは、記憶にない少女・風間ハルカ。しかし、記憶にないのは自分だけ!? そんな彼女は、優等生の仮面をかぶった毒舌で、しかも、仮面恋人を演じるハメになって……
第29回ファンタジア大賞、金賞+審査員特別賞受賞作。
この29回ファンタジア大賞の受賞作だと、先日読んだ『通常攻撃が全体攻撃で二回攻撃のお母さんは好きですか?』(井中だちま著)に続いて2作目。そちらも楽しかったのだけど、基本的にミステリ作品、SFミステリなんていうのが大好物な私にとっては、こちらの方がより好き。
物語は、冒頭に書いた通り、二学期になって登校すると、見慣れない少女が。記憶にないのは自分だけでさらに混乱。そして優等生に見えて、それは猫をかぶっているだけの毒舌女。そんな秘密を知ってしまって、なぜか仮面恋人を演じることになって……。あとがきで、著者が最初に書いたというマサキとハルカが罵り合うシーンとかの、罵り合っているのだけど何か、じゃれあっているようにも感じるやりとりっていうのが楽しい。
そして、そんな中で、変化をもたらすのは、間違って配達された手紙から始まる「高尾アキ」なる人物との文通。手紙を出すと、異様な速さで戻ってくる返事。しかも、なぜかその手紙によって現実が改変されていて……
ただし、その改変は何でもかなえてくれるわけではないらしい。では、その改変の法則性はどうなっているのか? 先に書いたような、マサキとハルカの、ある意味、じゃれあっているかのような罵り合いからだんだんと法則性への謎へとシフトしていって、という話の流れが素晴らしい。
終盤、その法則性とか、そういうのが明らかになるまでの流れがちょっと唐突というか、ちょっと駆け足だったかな? と感じるところがないではない。判明する最大のきっかけとなるハルカが……って部分はさすがに唐突だし。狭い田舎町なら、電話して、って流れはないと思う(町中にその話題は広まるはず) これは、分量の制限とかがある公募新人賞受賞作ならではかな? と……。でも、すべての謎がしっかりと解かれ、文句なしのハッピーエンド。非常に面白かった。
あと……新人さんにあとがきを8ページも書かせる編集部……。葵せきな先生の後継者でも育てようとしているの?(違)

No,4297


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