(書評)魔法密売人 極道、異世界を破滅へと導く

著者:真坂マサル



エルフの少女・ルルルに乞われ異世界へと高跳びした極道の千潮。ルルルが望むは、王国に虐殺された村の仲間の復讐。虐殺された村人が守り切った服用した者に「魔法」の力を授ける薬「魔薬」と、策略で王国へと侵入する千潮だったが……
まず、最初に思ったのは、タイトルがあまり中身を現していないな、ということだったりする。『魔法密売人』というと、こっそりと魔法の力とか、作中に出てくる魔薬とかを売っている人を思い浮かべるのだけど、別に売っているわけじゃないからなぁ。あくまでも、千潮が昔、麻薬の密売人だった、というだけ。
まず、個人的な経験談を含めて語るなら、私自身は、ミステリ小説などをよく読んでいて、その中には暴力団員などが登場し、結構、エグい策略などを弄する作品というのもある。本作は、そのエグい策略、暴力を用いる存在が、ファンタジーの世界へ行ったなら? という感じか。
主人公・千潮はもともと、現代日本で自分のいた組を裏切り、幹部を殺害した状況。だから、異世界へ、というエルフの申し出は渡りに船。しかも、魔薬というものを手にするチャンスもある。だから、エルフを手伝う、と言いつつ、隙を見て薬だけ奪って、くらいの気持ちでいる。しかし、元の世界へ戻るにも協力がいるし、また、あることが理由で手伝いをすることに……
「そんなことまではしないだろう、ということをするからこそ欺ける」
ある意味、この作品の醍醐味はそこかな? と。王国へ潜入し、復讐を果たすために千潮が行うこと。果たして、王国へと侵入したところで千潮が行ったこと。敵をだますには味方から、とはよく言うけど、千潮がこういう計画で王国に侵入して、という計画自体はルルルにも伝えてある。しかし、それでも、ルルルの自分でも気づいていない感情からすれ違いへと結びついていく。
そして、エルフの拉致事件にも奇妙なところが。王が自らの力で、というのならばもっと多くの兵力を避けるはず。兵力を使っているから、権力のある存在であることは自明。しかし、首謀者は王ではない。となると? こちらでも、「そんなことまでは」がうまくアクセントになっている。
あとがきで、「これはNG出るだろうな」と思ったところとかが通った、と書いているように、この手のレーベルとしては結構、ドギツい描写があるので、その点で注意は必要かも。そういう部分を含めて、冒頭に来た、一般小説とかである暴力団などのエグい主人公がファンタジー世界に来た、というのがピッタリな作品になっていると思う。

No.4315


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