(書評)アキハバラデンパトウ

著者:藍上陸



「キミがタカハシ、くん?」 秋葉原にある新東京多目的電波塔に、ヤクザである叔父の紹介で引っ越すこととなった浪人生の高橋。そこで出会うことになったのは、「異世界の勇者」を名乗る漫画家少女・ペンネをはじめ、おかしな連中ばかり。そこで、チロという愛称を得た高橋だったが、実は叔父の地上げのために派遣されたスパイで……
うーん……
なんか、いつも通りに冒頭に粗筋を書いてみたのだけど……感想を書く段になって「ああ、こういう話だったんだ」と思った次第。
元々、WEBサイトであるガンガンGAに連載されていた作品ものをまとめたものらしいのだが、何というか……正直なところ、物語らしい物語性というのを殆ど感じることなく、ただ、変てこな人々が織りなす瞬間芸的なものを延々と読んでいた感じがするのだ。
まぁ、確かに、登場人物たちの個性っていうのはとびぬけている。先の粗筋に書いたペンネ。良くも悪くも純粋で、しかも、元の世界では男だ、ということもあり、かなり無防備に高橋の前で行動をとる。そして、そんなペンネを守ろうとして、主人公を外注扱いするヌグ。エセ関西人のせやねん。とりあえず筋肉で、自身が店長をするコンビニも色々とアレなことになっている番人。大量の動物を飼っているZOO。そして、見た目はロマンスグレーの素敵な紳士だけど……という企業戦士。それぞれのやりとりはある意味、お約束なのだけど、これはこれでアリ。
しかし……
本当に、その面々が出会って、そこでちょっとした騒動(どつき合いとか)が起きて……というのを繰り返すだけで、じゃあ、物語としてどこへ進んでいるのか? というと、イマイチよくわからないまま終盤までいって、そこでチロの叔父が、実力行使に出て……でまとめられるのみ。なんか、物語としては「?」という感じだった。
いや、個性的な面々がやりとりを繰り返しているだけ、みたいな作品も多いだろう、という反論はあるかと思う。確かに、ないわけではない。ただ、例えば、自分が好きな作品でいうと、『異世界Cマート繁盛記』シリーズ(新木伸著)などもそうではある。ただ、そういう作品って、ちゃんと各エピソードに結末があり、それぞれでまとまっている。しかし、この作品の場合は……と感じるのだ。
多分、WEB連載の時は、そのちょっとしたところでの瞬発力で楽しめたのだと思う。しかし、書籍としてまとめて、続けて読む、というのならばちょっとなぁ、と感じるところが多かった。

No.4324


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