(書評)メルヘン・メドヘン

著者:松智洋、Story Works



物語をこよなく愛し、妄想過多な正統派ぼっち少女の鍵村葉月。新しい家族との関係も微妙で、物語の世界へと逃げ込む日々を送るあるとき、他の人に気づかれずに街を歩く少女・土御門静と出会い、不思議な学園へと迷い込む。そこは、世界中のありとあらゆる物語から生まれる魔法の本「原書」に選ばれた少女=メドヘンが学ぶな法学校。そして、葉月も『シンデレラ』に選ばれたのだという……
故・松智洋氏が作った原案をもとに氏が作った創作団体・Story Worksが物語を綴ったもの。伊藤計劃氏の『屍者の帝国』とかとパターンとしては似ているのかな? と思う。
私自身は、松氏の作品って、『はてな☆イリュージョン』、『不思議の島のエリス』くらいしか読んでいないので語るのはおこがましいかもしれないけど、それでも言う。いかにも松氏らしい作品だな、と。
周囲と打ち解けることができず、何かあれば、すぐに物語へと逃げ込んでしまう葉月。そして、有名な魔法使いの家に生まれ、事実、優秀な原書使いである静。しかし、優秀さゆえに周囲とは壁があり、やはり友がいない静。静が葉月の指導をすることで仲良くなって、という物語。
大きな力を持つ『シンデレラ』に選ばれながらも力を上手く使えない葉月。そして、原書使いを巡って各国の思惑。しかも、仲が良くなっても静には静に思惑があり、完全に打ち解けたわけでもない。中盤まで、少しずつ打ち解けたと思ったところでの、どん底へと落とす流れ。そして、その状況の中で葉月が成長し、そして一歩を踏み出す。先に書いた私が既読の松氏の作品でも、同じようなテーマが一貫しているんだな、というのが強く感じられる。
まぁ、こういうと何だけど、中盤までは結構、イライラするところがある。だって、葉月、本当に色々なところから逃げてばかりなんだもの。勿論、変な注目を集めて、とか、そういうプレッシャーもあるんだろうけど、それでも……ねぇ。その辺りもあって、中盤くらいまではなかなか読書スピードが上がらなかった。
でも、それが終盤、どん底からのハイテンションへの溜めへと繋がっている。その辺りはしっかりと計算されているのだろう。
よくもわるくも、松氏のこれまでの作品とカラーから逸脱していないから、「またか」的なところを感じるかもしれないけど、これは仕方がないのだろう。で、これ、続編出るのかな?

No.4327


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