(書評)ヴァラエティ

著者:奥田英朗



単行本などに未収録であった作品、対談などを集めた短編集(?)
あとがきによれば、「まとまらなかった作品」を集めたもの、とのこと。もうちょっというと、ボツ原稿とも言えるのかも知れない。
1編目『おれは社長だ!』、2編目『毎度おおきに』は、脱サラし、広告代理店を立ち上げた男性を主人公とする話。現在の会社に不満があり、思い切っての独立。会社内で、仲の良い同僚を誘い……となるが、の1編目。そして、いざ独立をし、仕事を介したときにある社長と出会って……の2編目。この2編を読んだとき、印象としては『向田理髪店』的な印象を持った。準大手での経験の独立をするがそのときとは勝手が異なる。気負いすぎと、でも、という部分。著者自身がもともと、広告代理店勤務だった、ということも含めて、もっと続いていたら面白そうだな、と思えてならない。
どちらかというとユーモア作品も多い著者だけど……というのが『ドライブインサマー』。自分が運転できないため、妻の運転する車でドライブに出かけた徳夫。しかし、妻はヒッチハイカーやら何やらを次々と拾って……。うーん……。ここまで純粋にギャグっていうのは珍しいかもしれない。ただ、徳夫じゃないけど、妻が何を考えているのかよくわからず、そのうえで変にドタバタしているだけで、何だこりゃ? という感覚の方が強く残ったかな。
クリスマスイブの夜、娘が友達の家でお泊り会をしたい、と娘が言い出した。母は……という『セブンティーン』。こういうと何だけど、よくある題材だと思う。ただ、これを男性作家が書く、というのがすごいな、とは思う。いや、実際、こういうシチュエーションになったらきっと……ということは想像ができる。でも、自分も男なので、それを突き詰めるってのは難しいはず。収録されている対談の中で、ディテールに凝る、っていうのを著者が言っているわけだけど、このディテールはどうやって凝ったのだろう? 取材……したわけでもないだろうしな(笑) ちなみに私、別のオチがあるのかな? と思ったら、そういうものはありませんでした。
個人的な感覚としては、統一感がなく、かなり当たりはずれのある作品集のように思う。そういう意味でも、これまで単行本に未収録だった、というのを感じた。

No.4346


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