(書評)ネットメディア覇権戦争 偽ニュースはなぜ生まれたか

著者:藤代裕之



2016年、アメリカ大統領選で当初の下馬評を覆しトランプ氏が当選を決めた。様々な現象が当選に寄与したことは間違いないが、その中に、ヒラリー氏についての偽ニュースというものもあった。まさしく偽ニュースで世界が動いた瞬間と言えるだろう。一方、日本でもDeNAのまとめサイトで、根拠のない医学情報などが報じられてるとして大きな問題になった。このような偽ニュースがなぜ広まってしまったのか? WEBニュースの変遷を追いながら、その理由について考察した書。
ということで、本書の内容は、第1章でネットの普及とその中での大まかな歴史の説明。第2章から第6章で、Yahoo、LINE、スマートニュース、日経新聞、ニューズピックといったサイト、アプリの紹介、取り組み、戦略と問題点などを解説する。そして、第7章でそれらのなかで、どうして偽ニュースなどが広まりやすくなったのか、ということを考察する、という構成。
最初に告白すると、私はスマホを持っていないこともあり、ここで取り上げられたサイトなどについては実際にどういうものなかよくわかっていない部分がある。利用しているのは、Yahooくらいだもんなぁ……
ただ、そんな中でも「へ~」と思ったことは多い。元々、自分で取材などをする力を持っておらず、新聞社などの記事を(安く)購入し、それを配信することでアクセス数を稼ぐプラットフォーム。一方、記事を作ることはできても、配信する力がなかった新聞社という関係。ところが、ウェブの発展により、プラットフォームがみずからも、という機運が高まる。しかし、新聞社のように、取材する、記事を作る、という専門家ではない中でどう独自色を作るのかが問題となり、試行錯誤を繰り返す。それが例えばブログ記事をまとめる、だったり、著名人などの意見を載せる、だったり。また、サイトを見る人を別の記事にいざなうための方法をアルゴリズムによるのか、人間の編集者によるのか、併用なのか……。ともかく、それぞれのやり方はありつつ、これまでの新聞社のようなやり方ではない方法が出てきた。その中に……ということになるのだろう。また、新聞などのメディア側がネットに振り回されて、という逆流も怒り始めるようになっていった……。滅茶苦茶、単純化して本書の内容を要約すると、こういうことになるのだろう。
最近は、大分、ブログで注目を集めたい、みたいな感じも減ってきたけど(というか、最近は、変にアクセス数が増えると、何かやらかした? と不安になったりする(笑))、出来るだけ多くの人に注目してほしい、という気持ちと、率直な感想などを、というのが両方あるのは確か。こういうと何だけど、うちのブログでアクセス数を稼ごうとしたらなるべく早く新刊を、それも、有名作家の作品を、とした方が良いに決まっている。でも、それじゃ自分の本当に読みたい作品を扱えなかったりもするし……。そういう葛藤っていうのをもっと大々的にしたもの、とも言えるのかな? と思う。
本書の場合、あくまでも「現段階」であり、記者の育成とか、そういうのは言いつつも、具体的にどうすればできるのか? などは書かれていない。それはそうで、そもそも、本書で紹介されたプラットフォームがいつまで、この状態なのかわからない。SNSとか、そういうものも、わずかここ数年で大きく変化したわけだから。ある意味では、言うは易い、行うは難し、なのだろう。ただ、ここまでの歴史などを踏まえて、現段階での状況説明という意味だけでも十分に意味のある書だと思う。

No.4357


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