(書評)おそれミミズク あるいは彼岸の渡し綱

著者:オキシタケヒコ



「ひさしや、ミミズク」 山中の屋敷、その座敷牢に住まう半身不随の少女・ツナ。そんな彼女のため、週に1度、「怖い話」を聞かせるのが僕の日課。そのために、怖い話の蒐集を続けている。そんな街に一人の男が訪れて……
読み終わってみると、なんか凄かった(笑)
山中の屋敷に囚われている少女に、毎週、「怖い話」を聞かせることを一つの日課としている僕こと瑞樹。ただし、その少女、ツナと会っていることは周囲には秘密。さらに、何か秘密があるらしい。そこに、オカルト雑誌の編集者・多津音一が現れて、その謎の秘密を暴き、ツナを解放してやりたいと思って……という流れになるんだけど、これだけなら「いかにも」なホラー作品という印象。
で、実際、そんな方向性で物語は進行していく。自らをペテン師という多津音一は、催眠術とか、類稀な洞察力をもって主人公を驚かせながらも謎へと取り込んでいく。しかも、その中で、長きにわたってかけられた「呪い」があることを喝破、さらに不可解な一族の存在なども明らかになっていく。ところが……
この作品のすごさって、肝となる部分が見事なほどにオカルトとSFが融合していること。あの世とか、呪いとか、そういうものを題材にした作品は多い。一方で、このSF的な話というのも読んだことがある。けれども、それを組み合わせる、という発想はなかなかない。まずそれが凄いな、と。
と、同時に、この読後感がすごく良いのも長所。不可解な状況。呪いなんていうおどろおどろしい言葉。そういうものがあって、いかに凄惨な真相が待っているのか、と思ったら、それぞれ、思惑はありつつも決して害意がなく、互いのことを大切に思っている、ということからの物語なのがその理由だと思う。終わってみると、悪人がいない話なんだよな。故にそれぞれの想いがしっかりと伝わってくるからだろう。
この物語としては、ここで終わりだと思うのだけど、多津音一とかは、色々と使い勝手もよさそうだし、スピンオフみたいなものも出るのかな? と期待してしまう。

No.4362


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