(書評)ゴーストケース 心霊科学捜査官

著者:柴田勝家



地下アイドルである奏歌のCDを聴いたファンが立て続けに自殺した。CDの呪いを科学的に解明すべく、陰陽師にして心霊科学捜査官である御陵と、準キャリアの刑事・音名井は、捜査を開始する。奏歌は、自殺したアイドルに祟られている、というのだが……
まずは、本書の前提のなる部分から説明した方が分かりやすいと思う。
この作品の世界では、霊子、つまり、心霊現象の原因となるものとかの存在が確認されている。そして、他者に殺害された場合などには、「怨素」という物質が出るため、それを証拠として司法にも認められる。勿論、だからこそ、そういう事件を担当する零課という部署も設定されている。
正直なところ、著者の作品を読むのは初めてで、SF畑の人という認識しかなかったのだけど、アイドル好きとして知られている人らしい。それを聞くとなるほど、という感じ。
冒頭の粗筋にも書いたのだけど、事件はアイドルを巡ってのもの。故に御陵は、捜査のために地下アイドルのライブへ出かけたりし、その中で、応援したい人物なども登場してくる。そして、その中で目にするのは、アイドルを巡っての様々な部分。同じユニット、グループの中にあってもライバル関係が存在し、人気がある、ない、の格差はハッキリと出てしまう。アイドルは孤独な存在である、という言葉……などなど……
アイドルに対して、熱狂的な声援を送る者と、宗教的行事の共通点。まぁ、特に最近のAKBとかの握手云々とか、総選挙とか、ああいうのを見て、それぞれの推しメンとか、ああいうのは客から金を搾り取るシステムにしかファンでも何でもない私からすると見えるけど、その中にはまって、という場合は確かに宗教的なものに近くなるんだろうな。っていうか、新興宗教にはまって、全財産を、っていうのは近いかも、と思えてきた。
そんな中で、謎となるのは、奏歌の正体であり、そして、自殺だけでなく起きてしまった殺人事件の謎。
奏歌の正体についてのひっくり返しは素直に仰天した。奏歌のライブに行ったとき、祟られているのは間違いない、と確信するわけだけど、そういう部分が全て逆さ、ていうのはすごく大胆。一方の殺人の方だけど……このトリックを用いると、他にも被害者が出てしまうような……と感じたのだが、何かそこに説明があったかな?
ともかく、何というか、著者のアイドル愛っていうのを強く感じた。

No.4370


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