(書評)異世界詐欺師のなんちゃって経営術4

著者:宮地拓海



ようやく経営も軌道に乗ってきた陽だまり亭。しかし、そんな42区に降り注ぐ雨は、河川の氾濫へと繋がってしまう。蔓延する病、そして、高騰する物価。その状況で苦しむ人々を見かねたヤシロは、その中で暴利をむさぼる行商ギルドに勝負を挑んで……
というシリーズ完結編。
「善行を行うのに理由を探さねばならないなんて面倒な……」 エステラ辺りがあきれてよく呟いていたセリフだけど、まさにそんな感じのエピソード。今回は、騙し合いっていうのも終盤にあるにはあったけど、ほぼ現代の知識を用いての人助けだしなぁ。
大雨のせいで、井戸などの飲料水が汚染され蔓延する病。その中でヤシロが行ったのは、安全な飲料水の確保(濾過システムなどの構築)、そして、さらなる投資としての、下水の整備。しかも、その整備について、3巻で登場したスラム出身のハムスター兄妹を使う。穴を掘るのは得意な彼らの雇用を確保するとともに、彼らに対する人々の偏見打破という目的も兼ねられ一石二鳥。「なんでこいつら、俺になついているんだ?」っていうヤシロの言葉があるけど、そういうことするからだよ(笑)
そして、そんな流行り病の問題が一段落したところで浮き彫りになったのは、町の人々の苦しさ。その原因となっているのは、行商ギルドの行動。そこで、行商ギルドとの対決……
個人的に、これまでの巻の感想で何度か「ヤシロと張り合えるような敵が欲しい」と書いてきたわけだけど、それがついに実現したな、という感じ。ヤシロと同じく、「審判」のルールを把握し、その中で自分が有利になる形で交渉を続けてきた敵・アッスント。当然、ヤシロとのやりとりの中でも、言質をとられないような形で交渉を続けてくる。そんな中で、ヤシロがとった作戦は……
勿論、ここでもヤシロが、敵以上にルールを知って、という部分はある。ただ、それとは別に、この作戦が成功したのは、先に書いた何だかんだで、町の人々を助けてきた、という実績。そして、敵が街の人々を苦しめてきた、という実績。そこにつながるんだろう。それが、最後の「煽り」が成功する理由なわけだし。そういう意味で、4巻続けてきた積み重ね、というのを感じる。
どうやら、WEBでの連載は続くようだけど、話としてはここでまとまっているし、区切りとしていいんじゃないだろうか。
パイオツカイデー!
……最後まで、胸の匂いを嗅いでいるイメージが思い浮かぶのはどーしたものか……

No.4374


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