(書評)ホテル ギガントキャッスルへようこそ

著者:SOW



幼き日に命を救ってくれた皇国の騎士に憧れ修行に励んだ末、騎士見習いになることが出来た少女・コロナ。しかし、なった直後、軍縮令によってアッサリとその職を失ってしまう。失意の彼女の前に現れた男は、一枚の招待状を持ち、かつて最強の砦と言われた巨人砦へ行くように勧める。かつての巨人砦は、あらゆる種族を受け入れるホテル・ギガントキャッスルと名を変えて営業中で……
あとがきに、「以前、パン屋さんのお話を書いていた」とあるんですが……え? 過去形? まだ続きますよね?
と、いきなり作品外の話から始めてしまったのだけど、物語はいわゆる「お仕事もの」ということで良いのかな? 冒頭に書いたような経緯でホテル・ギガントキャッスルに赴いたコロナは、そこでホテルマン見習いとなる。そこで客からの無茶な要求とかに応えて……という感じ。この手の話は、一般向けの作品でもよくあるんだけど、本作の場合、ファンタジー要素が多くて、客も狂戦士だったり、ドラゴンだったり、ゴーレムだったり、と文字通り人外の存在。そんな面々を相手にして、となれば当然、一筋縄ではいかない、となる。
まぁ、そのコロナの試行錯誤と、失敗っていうのはなかなか楽しい。例えば、最初の客は呪いの鎧を身に着け、それが脱げなくなってしまった狂戦士なわけだけど、「まずは豪華な食事!」→「鎧が脱げないので食えない」、「サウナ!」→「鎧が熱で超高温に!」→「水風呂へ」→「沈む」、このある意味、しょーもない流れではあるんだけど、テンポの良さも相まって素直に笑わせてもらった。そして、そんなコロナの失敗を取り戻すのは、先輩ホテルマンであるレイアなのだけど……
個人的にレイアの活躍が「惜しい」感じなんだよな。レイアが優れている、っていうのはわかる。わかるんだけど、あまりにもチート過ぎるというか、出てくれば即解決、みたいな状態になってしまうのは勿体ない。しかも、基本、3編なのに、2編がサービスというよりも武力で問題を解決しちゃっている感じなので余計にそれを感じる。
レイアの言葉じゃないけど、「コロナはホテルマンとしての技量とかは未熟だけど、大事なものを持っている」というように、一生懸命に何かをしようとするコロナのキャラクターは素直に応援したくなるし、その結果の、先のような失敗も面白くていい。それだけに、先輩・レイアの解決方法とかがもうちょっとバラエティに富んでいてもよかったんじゃないかな、と思えてならない。
続編が出たら買うとは思う。

No.4377


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