(書評)D坂の美少年

著者:西尾維新



美少年探偵団副団長にして指輪学園生徒会長・咲口長広。彼の卒業が迫り、後継の生徒会長を決める選挙が開催される。しかし、生徒会副会長であり、次期生徒会長の最有力候補とみられていた少女がひき逃げ事故にあったことで立候補を辞退。このままでは、学園側による傀儡にされかねない。それを防ぐため、眉美が立候補することとなって……?
シリーズ第6作。
物語としては、結構、オーソドックス。冒頭に書いたように、生徒会長選挙に立候補することになった眉美。それは、学園からの締め付けに対抗する、ということも一つあるけど、同時に、ひき逃げが学園からの刺客(?)によるものならば、再び、ということが考えられる。そこである意味、囮として使うことで、という目的を持つ、という2つの理由での立候補。選挙戦を戦いながら、犯人は誰なのか、というのを探ることに。
ひき逃げ事件の場となったのは、指輪学園に通じる4つの道のうち、最も人通りが少ないD坂。被害者の少女は、携帯電話で話をしている最中に事故にあった。目撃者はいないが、しかし、通話中だったため事故後、速やかに救急搬送され命に別状はない状態で発見。ただ、現場に犯人につながる手がかりはない。
一方、副会長が辞退した生徒会長選挙において、最有力の座に立ったのは眉美のクラスメイトの沃野。眉美自身が「こんな人いたっけ?」という影の薄い人物。それに対して、眉美は、長広らの支持を得て戦うが……
200頁あまりという短い分量だけど、目撃者がいないひき逃げ事故をどう見るべきか? なぜ、ひき逃げなのか? 本当に事件なのか? そんな考察。さらに、選挙における空気とかそういうもの。そういうのがしっかりと描かれているのが凄い。まぁ、犯人について、眉美の特殊能力とでもいうべきもので終盤、アッサリと判明してしまうので、その辺はちょっと肩透かしだけど。
ただ、そこで肩透かしにした分で、何か、色々と裏があることを示す。その一方で、長広の卒業。探偵団を「遊び」という団長の兄の登場など、シリーズのまとめに入ってきたことを仄めかす描写がしばしば。事件の真相が肩透かし、とか、そういうのを含めて、まとめ段階への伏線ということになるんだろうな、と感じる。

No.4381


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  • D坂の美少年 著:西尾 維新  発行元(出版): 講談社(タイガ文庫レーベル) ≪あらすじ≫ 美少年探偵団副団長にして指輪学園生徒会長・咲口長広。彼の卒業が迫り、新生徒会長を決める選挙が開催される。しかし、最有力候補と目されていた少女がひき逃げ事件に遭い、候補を辞退。このままでは学園運営陣による締め付けが強まりかねない。美少年探偵団は事件を解明し、眉美を生徒会長にする計...
  • 2017.05.07 (Sun) 17:56 | 刹那的虹色世界