(書評)十二人の死にたい子どもたち

著者:冲方丁



廃病院に集まってくる12人の少年少女。建物に入ると、彼らは金庫から12の数字を手に取り「集いの場」へと赴く。彼らの目的は、皆で安楽死をすること。しかし、集いの場に用意されたベッドには、すでに一人の少年が横たわっていて……。彼は一体、誰なのか? 自殺、それとも他殺? このまま実行してよいのか? 集いの原則である「全会一致」にのっとり、彼らは議論を開始する……
『マルドゥック・スクランブル』で著者の作品を初めて読み、その後は『天地明察』、『光圀伝』と歴史小説の作品を読んできたのだけど、本作はミステリ小説として綴られた作品。勿論、この作品における謎は、すでにベッドに横たわっている少年は何なのか? そして、誰がどうして、この少年をここへと連れてきたのか? というもの。
本来、皆で自殺する、というだけなので、余計な存在がいたところで構わない。傍から見れば、そんな感じもするのだけど、全会一致で実行するかどうかを決める。いつ実行するのかを決める。そんなルールがあり、話し合いが開始される。
とにかく、早いところ「実行」を決めてしまいたい者。自分に保険金をかけて殺そうとしている親への復讐のため、「自殺」なのでダメとしたいため、少しでも他殺の疑いが出てほしくない者。奇妙な主張をしたいために自殺したい者。さらに、議論が進む中、ただ、自分の意見を押し通したいだけの者。……話し合いを進めれば進めるほど、議論はこんがらがっていく……
当初、登場人物が多いので、誰が誰なのか? と思ったら、アクの強い面々がそろっている、ということで結構、それぞれの個性が見えてくるのは流石というところ。まぁ、アクが強すぎて、あまりにも人の話を聞かない連中とかがいて、嫌悪感を覚える相手もいるけど(特に女性陣は) そして、話は空転に空転を重ねつつも、だんだんと、少年の正体、それぞれの思惑へ……と進んでいく。リーダビリティの高さ、そして、どこへと転がるのかわからない議論の行方に引き込まれたのは確か。
ただ……巻頭に病院の見取り図とかはあるんだけど、それぞれの位置関係とか、そういうのがちょっとわかりづらいかな? とも感じたのも確か。それが残念かな? 話の着地点とか、その辺りは予想通りだけど、読後感は悪くないだけに、もう少し位置関係とかを把握しやすい形にしてくれればもっと面白かったのに、という感じになる。

No.4385


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