(書評)新説 狼と香辛料 狼と羊皮紙2

著者:支倉凍砂



港町アティフでの聖書騒動を乗り越えたコルとミューリ。ミューリからの想いをかわしつついるコルが、ハイランド王子に与えられた任務は、アティフの北の群島の調査。海賊が根城にするそこでは、「黒い聖母」信仰が行われていた。そして、その信仰は異端かどうかを調査することとなり……
第1巻は、本編というかホロとロレンスの話の1巻をトレースしたような部分が多く見られたのだけど、今回はそういうところはなく完全に独自の方向へと動き出した、という感じ。
北の群島。そこは、ちょうど山の中腹で植物の植生が変わっている、という特殊な自然環境。街にはあまり活気があるとはいえず、一獲千金を狙っての鉱山なども近年は停滞気味。そんな群島での、黒聖母に対する想いは本物。しかし、その黒聖母の正体は……。さらに、そんなところに現れた南の大国の商業同盟の船団……
一人、黒聖母に対する祈りをささげる男。その男の正体は……というのは、ネタバレっちゃあネタバレだけど、ホロとロレンス、ミューリとコルの関係にもつながる関係。人とそうではない存在の間の壁。そして、その関係は、言い方を変えると片方が片方のために一方的な犠牲を強いる関係ともなり得てしまう。ホロとロレンスのときは、互いに互いを思っていつつも、そういう壁を知っているからこその距離の取り方をしていたのだけど、ミューリの場合、知っていようがおかまいなしでコルへの想いを告げている。でも、それを利用されれば……ということにもなり得る。そして、実際に……
一方での、商業同盟の目的……。こちらは、形は違えども、日本でも同じようなことがあったんだよな……と。この辺りは、1巻のときからの、教会の腐敗とか、そういうものと繋がる話と言えると思う
正直、そこまで簡単に解決ができるのか? とか、オチに対しての思いは浮かぶものの、第2巻の段階からミューリとコルの関係などにかなり踏み込んでいて、派手さはないけど読ませる、という特徴はよく出ていると思う。

No.4389


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