(書評)アイドル稼業、はじめました!

著者:岩関昴道



朝の散歩で会っていた少女は、売り出し中の若手女優だった。俺、成田利夫は、彼女に会うため、芸能界を目指すことにした。ところが、オーディションの小道具に掛けられた呪いでなぜか俺の身体は女性化。しかも、ミニスカートをはいてアイドル活動をすることになってしまって……
粗筋を読んだとき、女体化した主人公が、その葛藤と戦いながらアイドル活動する話だと思っていたのだけど、どちらかというとミステリテイストが強い話だったな、というのが何よりもの感想。
序盤は、タイトルの通り、女体化する。そして、アイドルとして活動を始める、という話なのだけど、そんな主人公たちが暮らす寮に、別の事務所に所属しているはずの憧れの少女・瀬戸あおいがやってくる。なぜ、そこへとやってきたのか、というと人気急上昇中の俳優・白鳥亜蘭との不倫報道がされ、身を隠すため。しかし、そもそもあおいは不倫なんてしていない。一方で、白鳥側は早々に不倫を認め、謝罪してしまったため、あおいに対するバッシングが開始されてしまう。なので、リセ(利夫の女性としての名)は、あおいを救うために行動を開始して……
あとがきによると、著者は元々、映像制作会社にいて、芸能界の話なども色々と聞いているらしい。それだけに、週刊誌報道を巡ってのあれこれとかは(多少、耳にしたことがあるけど)リアリティがある。そもそも、真実よりも面白いかどうか、的な話って、ネットニュースとか、そういうのでも言える話でもあるわけだし。そんな中で、芸能界の常識を無視してのリセの暴走、そして、白鳥の行動の理由は何なのか? その中での、それぞれの事務所、出版社といったあたりの攻防戦は面白かった。
ただ……主人公のリセ(利夫)は、女にも、男にもなれるっていう設定があるんだけど、あまり物語にそれが寄与している感じがしない。ずっと女性のままでも話が組み立てられると思うし、逆もまたしかり、という感じがする。また、ぶっちゃけ、主人公が芸能人じゃなくて、例えば、マネージャーとかでも話が組み立てられる気がする。そういう意味で、主人公の設定が活かされているのか? というのはどうしても疑問になってしまう。
なので、芸能界を舞台にした軽めのミステリ作品くらいのイメージで読んだ方が良いのかな? と思う。

No.4395


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