(書評)さらば愛しき魔法使い

著者:東川篤哉



シリーズ第3作となる短編集。全4編を収録。
これまでのシリーズでもそうなのだけど、殺人事件が発生。その捜査をする中、魔法使いであるマリィが関係者に魔法を使い自白させる。とはいえ、それでは証拠にならないので、主人公である聡介が、その証拠を犯人とのやり取りなどを通して探す……という格好。ただ、今回は冒頭に犯人視点で事件を起こす描写が入り、さらに、その後も基本的な流れが全て同じという形で綴られている。
そんな中での各エピソード。腹違いながら、見た目がそっくりな弟を利用してのアリバイ工作を企てる1編目『魔法使いと偽りのドライブ』。正直、これは苦しくないか? という印象。作中で登場したモノについての特殊性とかは「なるほど」とは思う。でも、「慣れてなかったら思わず」とゴリ押しされたら、それ以上、追及のしようがなかったんじゃないかな?
ダイイングメッセージが題材の3編目『魔法使いと血文字の罠』。被害者が偶然、それを手に取っていた、というのはちょっと出来過ぎな気はする。ただ、以前、どこかで、「新しい技術の開発によって、ミステリー小説の従来のトリックなどが書きづらくなった。その一方で、新たな技術を用いたトリックなどが作られるようになる」っていうような話を目にしたのだけど、まさにそれを体現したような話になっていると感じる。
と、まぁ、多少、上手く行き過ぎ、という感じはあるのだけど、形式美とか、そういうものを含めて楽しく読むことが出来た。
そして、そんな物語の裏で続く部分……
「苗字が欲しい」というマリィの願い。そんなマリィの願いについて、複雑な想いを抱きながら日常を過ごす聡介。そんなとき、マリィの存在を嗅ぎつけた雑誌記者が現れて……となって……
これは続くのかな? これで完結編とすると正直、かなり寂しい。でも、こういう終わり方もあってもおかしくない。でも……
なんか、凄くモヤモヤする終わり方なんだよな……

No.4396


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