(書評)路地裏のほたる食堂

著者:大沼紀子



幼い頃の過ちが原因で、何をしでかすかわからない、というレッテルを貼られてしまった大学生の亘。そんな彼は、教育実習で故郷の高校を訪れる。そこで再会したのは、天才ではあるが滅茶苦茶なマイペースな幼馴染の結衣。そして、そんな故郷では缶の中に子猫が詰められている「猫缶」事件が発生していて……
ドラマ化もされた『真夜中のパン屋さん』シリーズでもお馴染みの著者。私は本作が初読なのだけど……
正直なところ、この作品は主人公が誰だったの? そして、どこをメインにしたかったのかな? という感じの読後感になってしまったなぁ……
物語の大半は、冒頭に書いたような亘視点の物語として綴られる。教育実習生として、母校へと戻ってきた亘。そこで再会した結衣。そんな彼女が興味を持ったのは、地元で発生している「猫缶」事件を調べること。ところが、そんな中、絶世の美少年だけど、複雑な家庭環境を持ち、また、炊飯器をもって奇妙な占いを行う少年・鈴井遥太が関わっているようで……
ある意味、学園のアイドル的な存在となっている遥太。しかし、猫缶を調べる内、彼が亘に見せたのは、「危険」な顔。その複雑な家庭環境もあり、彼の心は……そう考えるも、しかし、結衣は止まらない。なので、遥太以外に標的をそらし、うやむやにしようとするが、しかし……。ちょっと、終盤のネタバラシがあっけらかんとし過ぎかな? と思ったところはあるのだけど、ある意味、アニメとかでいがちな暴走ヒロインの手綱を取りながら、問題を済ませようとするものの、どっちに転んでもというような流れは興味を引く。それも敵対する形になる遥太の影の濃さ……そういうものも良いアクセントになっていると思う。
ただ、その一方で、タイトルにもなっている「ほたる食堂」の存在感がイマイチ。屋台で、しかも、日替わりでカレーだったり、餃子だったり、焼きおにぎりだったり……と何の店なのかわからない料理を出す店主の神。それは興味深いのだけど、でも、何かお調子者で、という以外にはこれといった形では話に絡んでこない。そんなままに物語が終わったと思ったら……
一応、亘と結衣の過去に横たわっているクロエという存在について、なぜ遥太が知っていたのか? とか、当初、占いが凄く当たる、という話だった理由とか、そういうののネタバラシとしてスッキリとはする。……するのだけど、そこまで主人公が亘だと思っていたところにいきなり他の人間が割り込んできて、全てをかっさらっていった、という感じがどうしてもするのである。こういうと何だけど、すごく気持ちが悪い。
何か、もうちょっと何かうまい構成の仕方はできなかったのかな? という読後感が強くなってしまった。

No.4397


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