(書評)ひとくいマンイーター

著者:大澤めぐみ



「あ、目が覚めたんだ」見知らぬ天井。咽せるような血の臭い。「こんな場所で何してたの?」思い出せない。ここはどこだ。なぜわたしは倒れている。「とにかく気を付けなよ、人食いマンに」巷で噂の美少女専門の連続殺人鬼? 魔法少女・サワメグを巡る物語。
以前に読んだ『おにぎりスタッバー』の続編、というか、前日譚となる物語。
という風には説明できるのだけど、正直、『おにぎりスタッバー』とは、全くカラーの異なる物語となっている。『おにぎり』の場合、アズ視点で、先輩との恋人まではいかないけど、ただの友人よりは親しい、というような微妙な関係性であったりとか何か、「のほほん」というような言葉が似あう物語だったのだけど、本作は結構、シリアス。
最初に書いておくと、序盤、主人公は誰なんだ? というところがあった。冒頭に書いたように、血まみれで意識を取り戻し、自分が何者かよくわからない少女が主人公。さらに、果てしなく「正しい」少女に自分がイジメにあっていた、ということを指摘され、それがきっかけで不登校になった、という少女。そういったエピソードが立て続けに出てくるために、「?」となってしまったことがある。
しかし、読み進めていくうちに、その不登校を経験した少女が、ただしき少女になろうとして魔法少女となり、それがサワメグとなったこと。そして、冒頭の記憶がない、ということの意味。そういうものが、しっかりと最終的に、結びついていくのは見事の一言。しかも『おにぎり』の終盤の話なども回収されるし。
というような構成的な部分での感想を書いてしまったのだけど、2作目で物語としてかなり攻めてきているな、というのを感じずにはいられない。
魔法少女とか、そういうものって、ある意味、「あこがれの対象」となる存在なわけだけど、サワメグの場合はまさにその状態。さらに、「魔法少女は不死身。でも死んだら……」、ある意味、矛盾しているように見えて、実は結構、繋がっているその意味。『おにぎり』のときとは対照的に血なまぐさい事件。色々と前作の話を想像していると裏切られることは間違いないのだから。
作品の持つ雰囲気の好き嫌い、っていうのは間違いなくあり、前作のような「のほほん」とした物語が好きだ、という人にとって、裏切られた感があるかもしれない。ただ、同じ舞台設定を使い、同じ人物を登場させ、時系列もある程度重なる中で、全く別のテイストの話を書いた。この時点でスゴイ、と言わざるをえまい。

No.4420

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