(書評)ホーンテッド・キャンパス 白い椿と落ちにけり

著者:櫛木理宇



こよみとのデートをしたものの、それ以来、彼女と会うと頭が真っ白になってしまうようになった森司。そんな中でも、オカルト研には次々と相談が舞い込んで……
シリーズ第11作。全3編を収録。
今回は、かなり人間関係の歪み、それも、家族という密室だからこその歪み、というようなものが強調されているような印象。
例えば1編目。エクソシストを題材にした映画などを見ると、不可解な感じになってしまう、という青年の相談を扱う『悪魔のいる風景』。折しも、その現象は、自分が好意を抱いている家庭教師の先生が兄と婚約をした、というあたりから……
こういうと何だけど、この流れで何となく、話の陰にあるのが何なのか、というのがわかる。でも、実はさらにもう一つの裏があって……という二段構成。当初の原因というのは、当然にその兄の存在。人間、誰しもがいろいろな顔を持っているのは間違いないのだけど、家庭というのが密室であるがゆえに、その裏の顔すら隠ぺいされてしまう。そして、その裏にあったのは、原因としては、やはり、人には隠しておきたい、という気持ちで……。それが巡り巡って、というのは皮肉そのものだけど。
3編目『白椿の咲く里』は、大学でもトップクラスの才媛と、彼女と常に比較されてきた従姉妹の関係性。学者一家の家で、優秀と言われた女性と、容姿に優れたが、頭は……という従姉妹。人魚伝説とか、村、一族に伝わる忌まわしき伝承とか、そういうものもあるのだけど、最終的には人間関係の物語へ。
このエピソードも、1編目と近いのだけど、表面的にはある人物の悪意。でも、その悪意が醸造されるまでには、当然、それだけの過程がある。そして、その環境によって育まれた言葉で……。色々と偶然(?)が続いた結果、ではあるのだけど、でも、それだけの歪みがあったから、というのを感じざるを得ない真相だった。
そんな中での森司とこよりの関係については……
うん……水前寺清子の代表曲が頭の中を駆け巡っている。
それだけで、どんな感じなのかはわかるはず(笑)

No.4424

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