(書評)やがて恋するヴィヴィ・レイン2

著者:犬村小六



近衛連隊を追われたルカは、流浪の旅の末に旧友・ジェミニへ庇護を求める。ルカにとって、勉学の師であり、不義理をした相手でもあるジェミニの恩に報いることを約束するルカだったが、ジェミニの思惑はルカのそれを遥かに超えていて……
何と言うか……『とある飛空士への誓約』と同じく志、仲間意識は保ちつつも敵対することに、という予感を遺しているから。
これは、1巻の感想で自分が書いた言葉なのだけど、早速、ルカと王女ファニアが対立することに……
王女フィニアの志とは別に、その下で横暴を極める貴族たち。国へ対する民衆の怒りはすでに限界に達しつつある。そんな中、近衛連隊を率いて少数で外敵を打ち破ったルカという存在は民衆の希望となるものだった。ジェミニにより、「英雄」へと仕立て上げられていくルカ。渋々ではあるが、しかし、そもそも逃げ込んだ都市から出ることはできない状況では、英雄になるほかない。しかも、そもそも戯れとは言え、ジェミニに壮大な夢を抱かせたのは、ルカの言葉……
一方のファニア。王女、とは言え、彼女の人々の声に寄り添って……という思想は政府の中では異端のもの。そして、彼女自身は国を代表する存在。故に、ルカを首謀者とする反乱に対し、それを制圧せねばならない。国を変える、そのためにも……
相手を想いながら、しかし、敵対する。『恋歌』の場合、カルエルとクレアが惹かれ合いながらも、しかし、実は敵対する存在だ、というのを知らない状況が描かれているわけだけど、こちらは互いに敵対する存在になってしまったが、ルカとファニアが惹かれ合っている。『恋歌』の1巻の感想で、『ロミオとジュリエット』的な感じ、と書いたけど、こちらこそが、そんな関係と言えるのかもしれない。
しかも、この話の厄介なところは、ルカにしろ、ファニアにしろ、「祭り上げられた存在」である、というところだろう。戦闘の際、戦術を立てるとか、指揮をする、とかの権限はあるルカ。しかし、そもそも反乱軍を主導したかったわけではないし、ファニアと戦いたいわけでもない。そうする以外に選択肢がない。ファニアも、貴族とかをある程度、抑えることは可能。しかし、国を守る、という部分が動かせない以上、それ以上の選択肢が用意されていない。
……ヴィヴィ・レインとは何か? についてはほとんど進展しなかったけど、そのことも伏線?

No.4428

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