著者:里見蘭


「この本、買っていただけませんか?」 すみれ屋の古書スペースを担当する紙野君がお客様に本を勧めるときは、そのお客様の抱える問題が解決する糸口が見つかったとき。そんな古書カフェ・すみれ屋での出来事をつづったシリーズ第2作。全4編を収録。
古書店を題材にしていて、書籍を用いて謎を解く。そういう題材の取り方をしている作品は決して珍しくないのだけど、前作は、小説などだけではなく、実用書、さらには写真集まで、という間口の広さが何よりもの魅力だった。そういうところでの第2作。
書籍感想のブログをやっている常連の知穂さんが、ブログを通じて知り合った男性と食事に行った。紳士的な相手で、楽しい時間を過ごすことが出来た。しかし、そのあと、返事などが来なくなってしまって……(『ほろ良い姉さんの初恋』)
ここで紙野くんが示したのは、落語『長屋の花見』。うーん……噺の中身から、なるほど、とは思うものの謎解きとしては弱いかな? ただ、正直なところ、このエピソードに出てくる知穂さん、凄く魅力的な人だな、と感じたり。個人的に、お酒と読書が大好きで、それらを気取らない形でブログなどに記している。相手の方が実は、っていのは出ているけど、でも、彼女に連絡をして、とやったのはそんな彼女が魅力的に映ったから、じゃないかな? と思う。ひと悶着あったけど、応援したくなる関係だな、と思う。
紹介される本の内容が気になったのは2編目『書店員の本懐』に出てくる『脳の右側で描け』。
美術を色々な人に教えている人がつづった書で、絵の描き方とか、そういうものについてつづった書。そして、その中で書かれていることとして、直感的に「こういう形、こういう状況」と判断して絵を描く場合と、理屈に沿って「これはこうなるから」と絵を描く場合。一枚の絵を描く中でも、両者が揺れ動くことがある、なんていうことが紹介されているけど、確かに言われてみるとそういうのはありそう。例えば、動物の絵を描くとき、直感的にこういう顔の形で……とか描くけど、動物についての知識などから「いや、ここは絶対にこうじゃおかしい」となって自分はヘタだな、と落ち込むみたいなことかあるし。作中で、紙野くんが言っているように、右脳・左脳論そのものについては現在では否定されているものの、直感と論理の鬩ぎ合い、とか、そういう指摘とかは面白そうだな、と素直に思う。
謎解きそのものについては、この本じゃなきゃダメだろうか? と思うところとかもあったりするのだけど、それぞれの本の魅力の紹介とか、そういう部分で読んでみたいな、と感じさせてくれる作品なのは間違いない。
No.4435

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「この本、買っていただけませんか?」 すみれ屋の古書スペースを担当する紙野君がお客様に本を勧めるときは、そのお客様の抱える問題が解決する糸口が見つかったとき。そんな古書カフェ・すみれ屋での出来事をつづったシリーズ第2作。全4編を収録。
古書店を題材にしていて、書籍を用いて謎を解く。そういう題材の取り方をしている作品は決して珍しくないのだけど、前作は、小説などだけではなく、実用書、さらには写真集まで、という間口の広さが何よりもの魅力だった。そういうところでの第2作。
書籍感想のブログをやっている常連の知穂さんが、ブログを通じて知り合った男性と食事に行った。紳士的な相手で、楽しい時間を過ごすことが出来た。しかし、そのあと、返事などが来なくなってしまって……(『ほろ良い姉さんの初恋』)
ここで紙野くんが示したのは、落語『長屋の花見』。うーん……噺の中身から、なるほど、とは思うものの謎解きとしては弱いかな? ただ、正直なところ、このエピソードに出てくる知穂さん、凄く魅力的な人だな、と感じたり。個人的に、お酒と読書が大好きで、それらを気取らない形でブログなどに記している。相手の方が実は、っていのは出ているけど、でも、彼女に連絡をして、とやったのはそんな彼女が魅力的に映ったから、じゃないかな? と思う。ひと悶着あったけど、応援したくなる関係だな、と思う。
紹介される本の内容が気になったのは2編目『書店員の本懐』に出てくる『脳の右側で描け』。
美術を色々な人に教えている人がつづった書で、絵の描き方とか、そういうものについてつづった書。そして、その中で書かれていることとして、直感的に「こういう形、こういう状況」と判断して絵を描く場合と、理屈に沿って「これはこうなるから」と絵を描く場合。一枚の絵を描く中でも、両者が揺れ動くことがある、なんていうことが紹介されているけど、確かに言われてみるとそういうのはありそう。例えば、動物の絵を描くとき、直感的にこういう顔の形で……とか描くけど、動物についての知識などから「いや、ここは絶対にこうじゃおかしい」となって自分はヘタだな、と落ち込むみたいなことかあるし。作中で、紙野くんが言っているように、右脳・左脳論そのものについては現在では否定されているものの、直感と論理の鬩ぎ合い、とか、そういう指摘とかは面白そうだな、と素直に思う。
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