(書評)繰り返されるタイムリープの果てに、きみの瞳に映る人は

著者:青葉優一



「あなたは運命の人じゃなかった」 2017年3月26日、慶介は突如、恋人である亜子から別れを告げられる。傷心の帰路、暴走するトラックに引かれそうになった少女を助けようとした慶介は、前年の大晦日へとタイムリープし……。別れを告げられる原因として指摘された部分を改め、亜子との関係が続くようとする慶介だったが……
まず、最初に思うこと。この作品、絶対にタイトルで損をしている!
いつも通り、粗筋を冒頭に書いてみたわけだけど、タイトルを見て、粗筋をみたら……「上手くいかないんだな」ってわかっちゃうでしょ?(笑) ある意味、ネタバレだけど、ここは堂々と書いてしまいます。当然、上手くいきません! 序盤、3分の1くらいの部分がまるまるネタバレで始まるって、ある意味、凄いかもしれない。
そして、そこからが物語の本番。どちらにしても上手くいかなかった二人の関係。ということは、自分の気遣いとか、そういうもののせいではない、と理解した慶介は、亜子がどうして、その決断をしなければならなかったのか、を探ることに。そして、ある程度、その理由が把握できて、その理由を排除することに成功したかのように思えた。けれども……
原因があるから結果がある。ならば、その原因を取り除けば……。しかし、それでも上手くいかない。それは、ただ、人間がこういう行動をとって、というだけではない、何か、見えない力が働いているのかもしれない。その見えない力の法則性とは? 中盤は、純粋な原因と結果を巡る物語だったものが、だんだんと世界の法則を巡る物語へと変化していき、SF色が強くなっていく、という構図が面白かった。しかも、その法則からハッピーエンドへ、というための試行錯誤がだんだんとハードになっていくし。そのハードルの上げ方のバランスというのもなかなか良いんじゃないかと思う。
ただ、最終的な完結編の部分については、ちょっと一足飛びな気がする。それまでの話で出てこなかったものがポンと飛び出して、それをヒントに一気にっていうのは……。物語のハードルを上げてきたから、そろそろ、っていうのはわかるのだけど、もうちょっとヒントへのステップがあっても良かったかな? というのを思う。
いや、面白かったんだけどね。

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