(書評)スクールジャック=ガンスモーク

著者:坂下谺



二足歩行兵器・機巧外骨格。その育成学校をテロリストが襲う。先の大戦における怒りを果たすため。生徒、教師が人質に取られる中、学内でもトップクラスの操縦技術を持つ少女・花枝連理と、過去を抱えた整備士・黒宮凛児にその命運は託される……
第11回小学館ライトノベル大賞優秀賞受賞作。
まぁ、ぶっちゃけ……この感想を書く前に、最近、毎週のように聴いているWEBラジオ『ラノベハスラー』様で取り上げられたため、却って感想が書きづらい(読了そのものは、ラジオよりも前だったのだけど) そこで思いきり『ダイ・ハード』&『ランボー』言われちゃって、その理由もしっかりと説明されちゃったので(笑)
まぁ、それらの映画作品に限らず、テロリストに占拠された閉鎖空間。その中で自由に動ける存在が、その状況打破をする、というシチュエーション作品の王道のような話だと思う。存在を知られないように、敷地の中を動き回り、一人、また一人と敵を倒していく。そして、その中で、連理と凛児、そして、テロリストの中心人物である防人の過去、関係、そして心情へと物語が移ろっていく。
折角だから『ラノベハスラー』様での評論に思いっきり乗って文章を書いてしまおうと思うのだけど、この敵方、防人の心情をどう評するのか、というのが結構、大きなポイントだと思う。ネタバレも含んで書いちゃうけど、凛児自身も実は防人と同じく、先の大戦で大きな戦果を挙げながらも、虐殺犯として戦後、蔑みの目で見られた情報軍の一員。自分たちを裏切った国、民衆に対する怒りは胸に秘めている。しかし、でも、防人のやったテロを許すわけにはいかない。一方の防人も無念を晴らすためのテロは起こしたものの、自分が正しいとは思っていない。だからこそ、同じ経験をした凛児がいる学校を襲い、彼が泊めてくれるのを待っている。先のラジオでは、これを防人側の「ブレ」とする見方もできる、とあったのだけど、その辺りも含めて防人という人間の不器用さを描いていると感じた。そして、そんな凛児に救われたことで、現在がある連理の存在。それが、最後に凛児を一押し、というのも、出来過ぎっちゃあそうなのだけど、「熱さ」に寄与していると思う。
まぁ、同時に、物語自体はかなり男臭い話ではあるんだけど、そんな中でのAI・逢瀬のセクハラと、連理の見た目に反した初心さ(表紙でもそうだけど、学内では腕はあるけど、周囲に反抗的な不良娘的な存在として扱われている)が良いアクセントになっている。正体を隠すためにもマスクを被れ、と言われて、でもそうしたら間接キスになる、と躊躇する辺りは、逢瀬じゃないけど「処女力高すぎ」でしょ(笑) この辺りも好きだな。
指摘をすれば、設定の甘さとか、そういうのも出てくるけど、王道な形で物語を綴り、しっかりと「熱量」を感じさせる。こういう作品、私は好き。

No.4443

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