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2008/05/14 (Wed) 22:19
(書評)痾

著者:麻耶雄嵩

痾 (講談社文庫)痾 (講談社文庫)
(1999/01)
麻耶 雄嵩

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和音島での事件の後、部分的記憶障害で事件、そして、桐璃についての記憶を喪った烏有。職場に復帰し、訪れた芸術家の家でかつての恋人ににたわぴ子と出会う。そして、何かに憑かれたように放火をし、そこには他殺体が…。
物語そのものは『夏と冬の奏鳴曲』の続編で、思いっきりそのネタバレもある作品。なので、まずはそちらを読んでいただきたい。
本作に関しても、ミステリーとしてみると「?」という部分がある。ただ、そこではなく、その中で語られる烏有のそのものの絶望感が凄まじい。
自分でも良くわからないうちに放火へ走ってしまう烏有。そこにある他殺体と、自らの元へ届く脅迫状。恐怖に駆られ、自分の側にいる桐璃に対する記憶はない。一方で、かつての恋人と、それににたわぴ子の存在。とにかく、その焦燥、恐怖、絶望がヒシヒシと伝わってくる。
物語の結末についても、それは言える。真相が判明して烏有が得るのはただの絶望。しかも、その後、これでもか、と追い討ちをかけられる。よくぞここまで…と言う感じがする。「もう慣れた」の言葉が、凄まじく痛々しく伝わってくる。
先にも書いたが、ミステリーとして考えると、このトリックは「おい!」と言う感じであるし、相変わらずメルカトルやらが訳がわからん、という部分もあり、評価は分かれそう。ただ、それらを含めても、この絶望感は痛烈だった。

通算1244冊目

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