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(書評)正解するマド

著者:乙野四方字
原作:東映アニメーション
脚本:野崎まど



野崎まどが脚本を手掛けたテレビアニメ『正解するカド』。そのノベライズを依頼された作家・乙野四方字は、何を書けば良いのか悩み、やがて、アニメのキャラクター・ヤハクィザシュミナが見え始める。記憶をなくしたというザシュミナに対し、乙野は……
なんだろうな……これ(笑)
『正解するカド』のスピンオフというか、スピンアウトとして紹介されている作品なのだけど、冒頭で書いたように物語は全く違う物語。とにかく、基本的にはメタフィクションとでもいうか、作品が書けずに悩む作家・乙野の日常が延々と綴られていく。
私自身が、野崎まどファンだと自称しているのだけど、著者の野崎まど愛が重い(笑) これまでの人生を振り返るようなシーン。そして、その中で、自分がいかに野崎まど作品が好きなのか、そしてそれと並行して、乙野の家庭での悩みとでもいったものが綴られていく。一応、比較的、早い段階でヤハクィザシュミナは出てくるのだけど、これ、何の小説を読んでいるんだろう? って感じになってくる。しかも、ヤハクィザシュミナ自身がアニメのそれとは異なった存在となっているし。
とは言え、父親を殺したい、というような乙野がヤハクィザシュミナに相談をして、そこでワムとか、アニメで出てきた異方の品が出てきて……とだんだんとアニメの世界観へと近づいていく。そして、そんな物語の鍵を握る人物は、アニメとは異なってあの人物で……
辞書を引くと「異方(ことかた)」というのは、「別のところ。別の方向」とあるのだけど、そういう意味ではこの作品自体がアニメにとっての異方と言える。そして、読者にとって、他者というのは、他社の描いたものというのは……
そんな物語が最終的にはアニメともつながってくる。テレビアニメと同じく、こちらも当初、というか、スタート時点でズレが生じて、そこからさらにズレて、という形で、明後日の方向という印象を受けざるを得ない話ではあるのだけど、それも含めて、「世界するカド」の世界観を上手く再現した、と言えるんじゃないかな、と思う。

No.4470

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