著者:紫野一歩


駅では電車が素通りし、道を進めばいつの間にか通り過ぎてしまう。地図にはあっても、たどり着けない町・夕霧町。ひょんなことから街へとたどり着いてしまった高校生・墨染幸一は、相談屋を営む少女・フミと出会う。そこで、幸一は、家族を悩ませるポルターガイストについて相談するのだが……
から連作短編形式で綴られる。第1章で、幸一自身についてのお悩み解決。第2章、第3章で店を訪れた相談者の、そして、第4章でフミ自身の問題について、という構成。
裏表紙には、「脱力系お悩み解決ファンタジー」とあるのだけど、そんなに「脱力系」ではないような気がする。いや、相談を受け付けるフミ自身はのほほんとしていて、切羽詰まったところが感じられないような飄々としたキャラクターではある。でも、相談自体は、当事者にとって深刻なものであるし、変てこな方法で解決をする、っていうわけではない。そういう意味で、あまり脱力系な印象は受けなかった。
元々、公募新人賞の受賞作ということもあるんだけど、個人的な評価は「惜しい」かな? こういうと何だけど、4章構成で、最初に主人公。そして、最終章で探偵役的な存在自身へ、という構成は、この手の作品ではしばしば見かける構成。そして、よくもわるくも、そのお約束に囚われてしまっているように感じる。
まぁ、毎日のように様子が変わってしまう。そして、人間が単独でたどり着くことはなかなかできない、という夕霧町の雰囲気。そこにいる妖怪(?)の面々。そういうところは非常に魅力的。また、フミと幸一のやりとりとかもこなれてきて楽しくなった。ただ、それが十全に活かしきれているかはちょっとわからない。
ただ……フミと、彼女を拾ったおばあちゃんの関係って厄介なところだよな……
ただ一緒に入たい、というフミ。対して、生業としていた仕事を喪い生きる気力を失ったおばあちゃん。幸一のセリフじゃないけど、これってフミが不幸というか、タイミングが不幸だった、って感じがするんだよな。生きがいを喪っていても、もし、ちょっと余裕がある状態だったら? それだけでも違っていただろうし……。幸一のセリフはちょっと乱暴な解決法には見えるけど、でも、正鵠を射ている。そんな感じがする。
ちょっとまだ話が固い感じがするのだけど、タイトルに「壱」とついているし、今後、キャラクターが掘り下げられていけばもっと面白くなりそう、という予感がする。
No.4482

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駅では電車が素通りし、道を進めばいつの間にか通り過ぎてしまう。地図にはあっても、たどり着けない町・夕霧町。ひょんなことから街へとたどり着いてしまった高校生・墨染幸一は、相談屋を営む少女・フミと出会う。そこで、幸一は、家族を悩ませるポルターガイストについて相談するのだが……
から連作短編形式で綴られる。第1章で、幸一自身についてのお悩み解決。第2章、第3章で店を訪れた相談者の、そして、第4章でフミ自身の問題について、という構成。
裏表紙には、「脱力系お悩み解決ファンタジー」とあるのだけど、そんなに「脱力系」ではないような気がする。いや、相談を受け付けるフミ自身はのほほんとしていて、切羽詰まったところが感じられないような飄々としたキャラクターではある。でも、相談自体は、当事者にとって深刻なものであるし、変てこな方法で解決をする、っていうわけではない。そういう意味で、あまり脱力系な印象は受けなかった。
元々、公募新人賞の受賞作ということもあるんだけど、個人的な評価は「惜しい」かな? こういうと何だけど、4章構成で、最初に主人公。そして、最終章で探偵役的な存在自身へ、という構成は、この手の作品ではしばしば見かける構成。そして、よくもわるくも、そのお約束に囚われてしまっているように感じる。
まぁ、毎日のように様子が変わってしまう。そして、人間が単独でたどり着くことはなかなかできない、という夕霧町の雰囲気。そこにいる妖怪(?)の面々。そういうところは非常に魅力的。また、フミと幸一のやりとりとかもこなれてきて楽しくなった。ただ、それが十全に活かしきれているかはちょっとわからない。
ただ……フミと、彼女を拾ったおばあちゃんの関係って厄介なところだよな……
ただ一緒に入たい、というフミ。対して、生業としていた仕事を喪い生きる気力を失ったおばあちゃん。幸一のセリフじゃないけど、これってフミが不幸というか、タイミングが不幸だった、って感じがするんだよな。生きがいを喪っていても、もし、ちょっと余裕がある状態だったら? それだけでも違っていただろうし……。幸一のセリフはちょっと乱暴な解決法には見えるけど、でも、正鵠を射ている。そんな感じがする。
ちょっとまだ話が固い感じがするのだけど、タイトルに「壱」とついているし、今後、キャラクターが掘り下げられていけばもっと面白くなりそう、という予感がする。
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