(書評)掟上今日子の裏表紙

著者:西尾維新



その強面などから、やってもいない犯罪を自白させてしまう刑事・日怠井が取り調べを担当することとなったのは、強盗殺人事件。その容疑者として逮捕されたのは、「最速の探偵」こと掟上今日子。そして、日怠井は、彼女を調べるために、彼女の専門家・隠館厄介に話を聞くことに……
ということで、今回は、今日子が容疑者として逮捕され、それを調べる日怠井、そして、厄介、両者の視点で物語が展開していく。
うーん……。なんか、相変わらず、事件そのものなどは小粒だなぁ……という感じ。いや、小粒であっても、魅力的な作品というのは数多くあるわけだけど、この作品の場合、言っちゃ悪いけど、大したことのない事件を特殊な構成を使うことで長編に仕立て上げた感じがする。
というのは、この物語、冒頭で今日子が強盗殺人の容疑者として逮捕された、ということは明らかになるのだけど、では具体的にどのような形なのか? そういうものは明らかにされていない。そして、その事件の概要がどういうものなのか? とか、そういうものがちょっとずつ明らかにされていく形をとっている。
正直、著者の作品らしい思考の揺らぎとか、そういうものを一人称で語っていく形でいくのでちょっと冗長感を覚えずにはいられない。まぁ、厄介側についていえば、一般人が警察の情報を手に入れることができない、っていうのでリアリティがあるといえばあるのだろうけど……
また、事件の真相についてもちょっと……と思うところがある。そもそもの事件の現場について、なぜ、警察がそれを知らなかったのか? 関係者に聞き込みをすれば、そのことはすぐに判明すると思う。それに、確かに、目的としては間違っていないのだろうけど、これはこれで……? という気がするのだが……
個人的に、このシリーズって短編は面白いけど、長編は……っていう印象がある。この作品も残念ながら、そのパターンにはまってしまったかな? という風に思えてならない。

No.4484

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  • 2017.09.06 (Wed) 16:30 | 刹那的虹色世界