(書評)ドローン探偵と世界の終わりの館

著者:早坂吝



ドローンを駆使して犯罪者を追い詰める「黒羽を継ぐ者」ことドローン探偵・飛鷹六騎。彼が籍を置く北神大学探検部は、終末論を唱えていた資産家・御出院が建てた館・ヴァルハラへの探検に向かう。大物政治家の娘・国府怜亜が中心となって設立されたその部の面々には、それぞれ、胸に秘めた思いがある。そんな思惑を抱えながら入館した探検部の面々だったが、嵐で館に閉じ込められ、メンバーも次々と不審な死を遂げ……
自分の中で、すっかり「イロモノ」作家扱いの著者だけど、これまたとんでもない投げつけてきたなぁ……
まず、本作の構成という意味で言うと、冒頭に書いたように、探検部の面々がヴァルハラという館に行くところから開始される。しかし、探偵である六騎はケガでドローンを使って探検部の面々についていくことに。そして、参加者たちは、それぞれ重い……というよりも、ちょっとアレな思惑を持っている。一言でいうと……
ものすごく中二病っぽい!
だって、六騎は、かつて人気を博した鳥と会話をすることができるドラマの主人公・黒羽刑事に憧れ、作中、無生物であるドローンと会話をしながら事件を見る。そのドローンの名前も、フェンリルだったり、ヨルムンガンドだったり、だし……。そのほかにも、同じ政治家の父を持ちながら妾腹の子ということで実の姉である怜亜を憎む零。同じように怜亜への復讐を決意する猪知郎。かつて、館に遊びに行ったことのある経験を持つ透、足彦。そして、御出院に心酔する林檎。なんか、つねに「香ばしい」思考があふれていて、何か読んでいて随分と痛々しい、と感じることが沢山。そして、そこで起きる事件。しかも、それは密室殺人であり……
正直、その香ばしさが何かの伏線なのかと思だと思っていた。が、思わぬところからのひっくり返しが待っていた。
いや、その香ばしさがうまいこと、物語のよい目隠しになっていることは間違いない。終盤、真相を見抜く段になって六騎が卒業するわけだけど、文字通り「ありのままに見たら」ってことだったとは。
これ……作中の香ばしい面々のやりとりと同時に、ポイントとなるものに対する先入観が、っていうのもある。これ、もし、その名称の正確な意味を知っていたらピンとくるところがあるかもしれない。
とはいえ、やっぱり、このクセのある謎作りは好きだな、と実感。この路線でどんどん行け!

No.4485

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